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西垣「私と松本の馴れ初め話でもしようか」

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 20:38:02.04 ID:igZJu93Y0

突然どうしたって言われればなんとも答えようがないわけだが。
たまには話したくなる時だってあるもんさ。

そう、始まりは――
え?そんな語りは必要ないって?まあ、聞いてくれたら爆友二号として
認めてあげようじゃないか。

こほんっ
ではもう一度。

――始まりは一年前の春だった。


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 20:49:13.87 ID:igZJu93Y0

その頃、私はようやく教師としてそれなりに自信と自覚を持ち始めていた。
ということで、理科室も私物化していいという結論に至ったわけだ。

わけがわからないって?
私だってよくわからんが、とりあえずそう思い至ったんだ。
これがひらめきってやつだな。


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 20:51:25.64 ID:igZJu93Y0

ひらめきってやつは大事だからな。
それからはもう、春休みも次の年の用意なんかもそっちのけで実験に没頭して
いたよ。

理科室だからな。
それなりに器具もそろっていて、そりゃあ居心地のいい場所だった。

そういうことだから籠りっぱなしになってね。
来る日も来る日も爆発しては爆発しての繰り返しさ。
そして、松本に出会ったのもそんなある日のことだったわけだ。


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 20:54:08.46 ID:igZJu93Y0

その日も私は実験三昧。
そろそろ終わろうかと思ったとき、私は突然がらりと理科室の扉が開いた音を
聞いたんだ。

一瞬、校長かと思って焦ったよ。
あのときから校長は口うるさかったからな。

けど、実際は違った。
違ったわけだが焦って狂った手元が色んな薬品に色んなものをぶちまけてしまってね。
ははっ、今思えば私も若かったもんだな。

その結果、わかるだろう?
そうさ、ばーんだよ、ばーん。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 20:57:22.18 ID:igZJu93Y0

あんなに間抜けな爆発音を聞くことになるとは思わなかったよ。
本当に間抜けだったんだ。

聞きたい?
けどあいにくだが今の成長した私じゃああんな間抜けな爆発音を
聞かせることはできないからね。

おっと、少し話がずれたか。
間抜けな爆発音のあと、私はしばらく呆然と自分のしでかしたことに驚いて
固まってしまったよ。

けど、むしろ私以上にかっちんこっちんに固まっていた女子生徒が扉の前にいたんだ。
煙がようやく晴れた頃、その子と目が合った。
そう、その子が松本だったんだ。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:01:40.21 ID:igZJu93Y0

いくら私でも、次期生徒会長の松本のことくらいは知っていた。
だからそんな松本がどうして理科室に来るのかわからなくてね。
間抜けな爆発以上に驚いてしまったわけだ。

松本りせ――
彼女は学校生活のほとんどを生徒会室で過ごしていると聞いていた。
もちろん、授業はちゃんと受けていただろうけどさ。

私は三年生の理科しか見ていなかったから、よくはわからないが。
ただ、生徒会のホープだとよくあの退屈な職員室で聞かされていたんだ。


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:10:41.42 ID:igZJu93Y0

生徒会が大好きな子なんだともさ。
私はそれだから、松本と目が合うなり、言ったさ。
もちろん照れ隠しも兼ねてだ。あんな爆発をしたところを見られるなんて、
恥ずかしいじゃないか。

なんて言ったかって?
あぁ、そうだったそうだった。

とりあえず、私は言ったんだよ。
爆友にならないかってさ。


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:13:17.27 ID:igZJu93Y0

するとどうだ、松本はひどく驚いた顔をしちゃってな。
爆発のせいで煤けてたのに、それでも白い顔に精一杯の驚きの表情なんか
浮かべちゃって。

私は思ったよ。
この子と爆友になるべきだってね。

なんでかは、これまたよくわからないさ。
ただそう思ったのは確かなんだ。運命ってやつだろうな。
教師が運命を信じたって、別に悪くないだろ?


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:17:12.60 ID:igZJu93Y0

最初、松本は怒っていたよ。
もちろん、その頃は松本のことをよくわかっていなかったから、怒っているのかどうかも
わからずに話しかけていたもんだけど。

生徒会が大好きな松本だ。
後から聞いた話によればさ、松本がその日理科室に来たのはただ私に注意する
ためだったんだとさ。爆発ばっかりするんじゃないって。
笑っちゃうだろ?

昔の生徒会長さんに大感謝しなくっちゃいけないな。
松本が生徒会室にこもってばかりいたから、そんなんじゃいけないと無理矢理にでも
行かせたらしいんだから。


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:21:34.90 ID:igZJu93Y0

いくら次期生徒会長候補の松本であっても、全校生徒が松本の存在を知らなければ
意味がない。そういう意味でもあったそうだよ。
おかげで松本は選挙も信任投票の票すべてをもらって今はめでたく生徒会長だ。

もしあの日がなければ、松本は生徒会長になれていたか怪しいしな。
ま、他の先生が勝手に決めちゃってたかもしれないけどさ。

で、今の松本があるもう一つの大きな理由はなんだと思う?
わかってるだろ?
私さ。私の存在があるからだよ。


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:24:54.91 ID:igZJu93Y0

自意識過剰だって?
確かにそうかもしれないけど、松本のことを一番よく知ってるということに関しては
確かじゃないか?

ははっ、私と松本の関係は皆が認めてしまっているからな。

で、続きを話せって?
そんなに急ぐことでもないさ。

私と松本は、その出会いの日から徐々に一緒にいる時間が増えていった。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:28:49.58 ID:igZJu93Y0

松本はあのとおり、律儀な子だからね。
爆友になろうと言った私のために、本当に爆友になってくれたんだ。
そのときの松本の気持ちがどうだったかは、今じゃもうわからないが。

もしかしたら、律儀に生徒会長さんの言うことを聞こうとしていたのかもしれないな。
一度も松本は、爆発するなとは言わなかったわけだから。
あぁ、けど一度だけ。そんなことを言っていた気もする。

まあとりあえず、そういうことだ。
松本は春休みの間中、学校がないにも関わらず昼前になると必ず理科室を訪れて
くるようになってきた。


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:32:02.40 ID:igZJu93Y0

最初のうちは何も言わずに、ただ私の様子を伺うように背後に立ってじっとして
いただけだったよ。

何も、伝えて来ようとはしない。

もっとも、その頃の私が松本の言葉を聞けなかっただけかもしれないけどな。
思えばいつから松本の言葉を聞けるようになったんだろうな。
よくは覚えていないんだ、本当に唐突だった。

いつのまにか、理解できるようになっていたんだよ。
松本のことがさ。


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:34:50.15 ID:igZJu93Y0

最初は超能力かと思ったよ。けど、そんなのありえないじゃないか。
え?運命は信じるのに超能力は信じないのかって?
当たり前じゃないか、私は理科教師だからな。

理解できた最初の松本の言葉は、今でもよく覚えているよ。
西垣先生大好きだって。
もちろん嘘だが。


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:40:13.16 ID:igZJu93Y0

本当はなんだったのかっていうのは、私と松本、二人の秘密さ。
覚えてないだけなんじゃないかっていう質問は受け付けないからな。

おっと、また話が逸れてしまった。

松本が私の実験を手伝いだしたのは、4月頭の頃だ。
その頃にはもう、私は松本の半分くらいは理解できていたように思う。

毎日毎日、理科室を覗いてはなにが楽しいのかただ黙ってみているだけでね。
だから一緒に簡単な実験をしてみないかと、誘ってみたんだ。
そしたら松本は頷いた。


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:42:42.84 ID:igZJu93Y0

危険なものじゃないと、確かめるためのものでもあったらしい。
私にもそれがわかって、だからこそわざわざ簡単に素人でもできるような実験を
選んだわけなんだが。

知ってたか?
松本は、どうにも理科が苦手だったらしくてね。

ばーんだよ。
出会ったときと同じように、いきなりばーんと間抜けな爆発。


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:45:29.93 ID:igZJu93Y0

私はあまりにも驚いて、おまけにおかしくって、腹がねじ切れるんじゃないかって
思うほど笑い転げてね。
今思えば半時間ほどずっと笑っていたような気がするよ。

松本はきょとんと今自分が繋いだばかりのコンセントを眺めていた。
それから唐突に、松本も笑い出しちゃってね。

あれだよ、よくあるパターン。
あぁ、この子はこんなふうに笑うのかってさ。
本気でそう思ったわけだ、私は。


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:49:55.81 ID:igZJu93Y0

あの日ほど、爆発してくれたことに感謝した日はないよ。
誰かと一緒に爆発する楽しさっていうのをね、その日初めて身体で体験した。

爆友の必要性を、改めて実感した。

だから私は松本がまた生徒会室にこもりっきりになってしまうことがもったいないと
思ってね。
本当に、すごく楽しかったんだ。松本も爆発の楽しさを、きっとわかってくれた。

私たちはその日を境に、本当の爆友になったわけだ。


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:53:40.42 ID:igZJu93Y0

それからはもう、想像通りだろうと思う。
私たちは実験に実験を重ねたさ。

幸せな日々だった。

松本は苦手な理科を克服するためにも、必死になって。
今じゃどんな実験も難なくこなしてしまうよ。
私の爆友ながら、ありゃ才能があるんじゃないかって密かに思っているわけ。

なんのって?
爆発のに決まってるじゃないか。
もちろん一番才能があるのは私だろうけどな。爆発を楽しむ心が肝心。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 21:57:06.66 ID:igZJu93Y0

どんな実験でも難なくこなしたあと、松本は爆発してくれる可愛い子だ。
最近試している薬だってね、一度爆発させてから……あぁ、そんな話は
どうでもいいのか。

あの頃の理科室は、本当に素晴らしい場所だったな。
まるで私と松本二人の秘密基地だった。

今じゃ、そんな面影はないからそんなの想像つかないだろうけど――


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:01:53.51 ID:igZJu93Y0

もうすぐで春休みが明ける頃だ。
休みの最後を飾るために、私はとてつもなく大きな実験を企んだ。

そのときばかりは、松本も――
あぁ、そうだ。
一度だけ爆発するなって。そう言っていたのは、確かそのときのことだった。

爆発、しちゃだめ。

私の白衣の裾を、すがるように掴んで見上げてきた松本。
そんな松本に大丈夫だと言って、私は爆発した。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:04:59.16 ID:igZJu93Y0

これだけ言うと、ただの笑い話みたいだろ?
私も自分で言いながら笑えてきたよ。

ところが笑い事なんかじゃなかった。
本当に、爆発したんだ。
理科室全部が、どっかーんと。学校中を揺るがすほどの大爆発。

私は感動した、そのときはすごく、感動したんだ。
こんな大爆発を起こせるんだってな。
けど、すぐに後悔した。


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:11:28.65 ID:igZJu93Y0

幸い、私たち二人に怪我はなかった。
そのとき学校にいた人間も誰も怪我はなかった。春休みだったこともあって、だろうけど。
今でもたまに、もしあのとき人が大勢いたらどうするつもりだったんだって
どやされるよ、困ったもんだ。

じゃあなんで後悔したのかって?

私たちの理科室が――秘密基地が、無残な姿に変わってしまったからさ。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:14:25.93 ID:igZJu93Y0

ちょっと考えただけでそうなることはわかるだろって、まあそうなんだけどさ。
松本と一緒だったから。
ただの言い訳になるかもしれないが、本当にそれだけだったんだ。

松本と一緒だったから、なんでもできるような気がしたんだ。
爆発。大爆発。どどどどっかーんって。
上手くいくと、信じ込んでいた。

消防車だったり救急車だったりがいっぱい来てね。
そりゃあ大変だった。

そして私は、その騒ぎの後校長に呼ばれたんだ。


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:15:12.89 ID:igZJu93Y0







辞めろって。








そう、言われたよ。
いつもの怒った顔、さらに歪ませちゃってさ。


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:21:28.72 ID:igZJu93Y0

ま、当然のことだろうね。
さすがの私でも大人としてのプライドとか責任とか、そういうのはあるわけだし。
その時ばかりははいって素直に頷いたさ。

もう春休みも終わって三年生になる松本に理科を教えられるの、
楽しみにしていたんだけどな。

そんなふうに、松本に話したよ。
松本は何も言わなかった。

聞こえなかっただけじゃないのかって?
いいや、本当にそのときの松本は、何も言わなかった。


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:24:33.76 ID:igZJu93Y0

私はそれからのろのろとね、学校を去る準備していたんだ。
誰かが引き止めてくれるんじゃないかって、淡い期待を抱きながら。

けどもちろん、理科室をめちゃめちゃにした私を庇ってくれる人なんて、
いるわけがなかった。
私も仕方ないって、思ってたよ。

そんなこんなで学校去らなきゃいけない日がやってきた。
辞表届けもちゃんともってね。
最後の学校まで、のんびり歩いた。


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:29:48.32 ID:igZJu93Y0

学校に着くとすぐ、私は辞表届けを持ったまままず学校を一周、ぐるりと
まわってみた。
辞表届けを提出して颯爽と学校を後にするのって、なんかかっこいいだろ?

だからその前に、学校の姿をちゃんと見ておこうと思ったんだ。
思えばずっとほとんど、ふっ飛ばした理科室ばかりにしか目がいかなかったからね。
きっと松本も、生徒会室以外のことをなにも知らないんだろうなと思ったよ。

学校内は案外、いい場所がたくさんあることに、そのとき初めて気付いた。
それを松本に伝えたくなって、私はいるかいないかもわからないまま、松本を
探した。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:45:39.08 ID:igZJu93Y0

松本は、いたよ。
どこにいたと思う?

生徒会室でも教室でも図書室でもなくって、
理科室のあった場所。

松本はそこに突っ立って、私を待っていた。
私が来ることをわかっていて、そこで待っていたんだ。
何度松本に驚かせられなきゃいけないんだって思ったよ、ほんとさ。


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:50:57.74 ID:igZJu93Y0

松本は私を見つけるなり、駆け寄ってくることもせずただ真直ぐ、私に
右手を差し出してきた。

人間っていうのはさ、そうされたら反射的に自分も手を出しちゃうだろ?
私は辞表を持ってた手、松本に伸ばした。
そしたらものの見事にすりとられちゃったんだ。

ビリッ

そんな音がしたときは心臓が止まるかと思ったよ。
比喩的な意味じゃなくって。

松本が、私の辞表届け破り捨てたから。
誰だって驚かないわけがないだろ?
しかもそれで、私の決心がいとも簡単に崩れ落ちちゃってさ。

私は松本に詰め寄った。
けど、松本は言った。

西垣先生大好きって。

まあ嘘だが。
嘘というか私の願望だが。
ほんとはなんて言ったんだって?

勝手に辞めるのは生徒会長の私が許さないですってさ。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:54:46.64 ID:igZJu93Y0

まだ、生徒会長だったわけでもないのにな。
その後校長に聞いた話によれば、私が辞める話もみ消したのは松本だったんだって。

あの他の人と会話を交わすことの苦手な松本がさ。
まったく。
職権乱用――というか、松本という名前乱用だよ。

そのときの松本は本当に真剣だった。
みるみるうちに泣きそうになっちゃってね。
あ、私じゃなくって松本だけど。
いや、ほんと、ほんとだって。

思えば松本が泣いたのを見るのはあのときが最初で最後だったよ。


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 22:58:46.30 ID:igZJu93Y0

まあ、そんなこんなで私は今も無事にこの学校にいるわけだ。
辞めてくれてよかったのになんて思っちゃってる悪いやつはいないはずだ。
みんな私の大切な爆友だしな。もちろん一号の座は松本だから譲らんが。

別に馴れ初め話ってほどでもないけど。
とりあえず、私の話はこれで終わり。
つまんなかった?
ははっ、それでも最後まで聞いてくれたんだからほんとはそうでもないんだろ?


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:01:12.04 ID:igZJu93Y0



西垣「……なーんてな」

すっかり真っ黒になってしまった理科準備室。
それから自分の身体を払いながら、私は呟いた。

新しくなった理科室の使用は禁止されてしまったから、あそこよりもだいぶ狭い
理科準備室が今度の私の居場所だ。
おっと、また小さく爆発して――

かたん。

控えめに、扉を開く音が聞こえた。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:04:21.81 ID:igZJu93Y0

西垣「おっ」

ばっと振り向いた。
今の私は、こんなことで動揺したりせず薬品をぶちまけたりなんかしない。

松本がいつものように立っていた。

西垣「松本、もしかして私の一人語り、聞いてたか?」

聞いてたよ。
松本が言う。

西垣「ははっ、そうか。聴衆がいない語りは寂しいからな。まあ、松本が聞いてるんじゃないかと
   思って話してたわけだが」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:06:25.98 ID:igZJu93Y0

松本が疑り深く私を見てきた。
まあ半ば嘘も混じっているからそっと視線を逸らすしかない。

しかし、本当に実際聞かれていることも想定して話すべきだったな。
そうは思いながらも、どこからどこまで聞いていたのかもわからないし今さら考えたって
しかたがない。

西垣「仕事は終わったの?」

こくんと松本が頷いた。
それから私の傍に寄ってくる。


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:13:47.63 ID:igZJu93Y0

こうして並んで立ってみると、松本はだいぶ成長したんだなと感慨深くなる。
出会ったばかりの頃は離れてばかりで、おまけに背だって私より一回りほども
小さかったはずなのに。

西垣「……まあ成長して無いところもあるけどな」

足を踏まれた。
そういう私だって成長してないとこばっかだって。
まあ、確かにそうだろうけど。

西垣「私は成長しなくてもいいんだよ、西垣奈々は成長しない」

松本は呆れたような顔をして私を見上げてきた。
だって、私は大人だからな。
それに成長しちゃったら爆友として一緒にいられなくなるかもしれないしさ。

西垣「私はいつまでも子供のような心をもって、松本と一緒にいたいんだ」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:18:56.04 ID:igZJu93Y0

松本はなにも言わずに俯いた。
私は少し高く腕を上げなきゃいけなくなったけど、ぽんっと松本の頭に手を置く。
相変わらず綺麗な髪だ。伸びすぎた前髪、そろそろ切ってやらなきゃな。

西垣「松本、言い忘れてたことがあるんだが」

松本は俯いたまま、不思議そうに首を傾げた。
私はわざと理由を言わずに、言った。

西垣「ありがとう」

きょとんとしたあと、松本はこくりと頷いた。
今さら遅いよ。
松本はそう言うけれど。伝えたいことはちゃんと伝えたのだから良しとしよう。


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:21:28.25 ID:igZJu93Y0

私はそれでもなんだか少し照れてしまって、照れてしまったというか手が勝手に
松本の頭を乱暴に撫でる。

西垣「松本もほんとは言い忘れてること、あるんじゃないか?」

よくわからない、というように松本が見上げてきた。
乱暴に撫でるから少し怒っているようでもある。

西垣「だから、あれ」

私の願望ってやつ。
西垣先生大好きってさ。

そろそろ言ってくれてもいいんだと思うんだけどなあ。


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/14(月) 23:23:33.52 ID:igZJu93Y0

松本はじっと私を見上げたまま。
照れ屋さんだな、松本は。
そう言って笑ってやろうとしたときだ。


りせ「……」


あぁ。
さすが松本だ。

西垣「松本なりの愛の告白だって受取っとくよ」

――爆発、しよ?




終わり


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■コメント

 [名無し]

これまた懐かしい

 [名無しさん]

いやはやおつですよかった

 [名無しさん]

僕も爆発します!

 [名無しさん]

こ、これがリア充というやつなのか……

 [名無しさん]

作者はとてもわかってる
わかってる

 [名無しさん]

このまとめ始まって以来
最高に文才持ってる奴が載ったな
■コメント


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