向日葵「ずっとふたりで」

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105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:24:11.47 ID:KepSYMOQO


『私たち、いつまで一緒にいられるかしら?』




いつだったか、私は櫻子にこう尋ねたことがある。
その時の櫻子は返答を茶化した揚句、私の胸のことに言及してきて、殴り合いの大喧嘩に発展した。

その時はただなんとなく聞いた質問。
しかし今現在、とてつもなく大きな不安に変わっていた。

私たちは、いつまで一緒にいられるのだろう。


108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:25:56.98 ID:KepSYMOQO

小さな頃は、家が隣同士ということで常に二人で過ごした。
大きくなってからも、何かと理由を付けて、喧嘩をしつつも一緒にいる時間は長い。

だけど、これからはきっと違う。
私たちはそれぞれ高校を受験し、互いに違う学校で違う友達を作り、違う夢を追って違う恋をする……。

私には、それが想像できない……いや、想像したくないのだ。


109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:26:52.27 ID:KepSYMOQO

小さな頃にした『指切り』……櫻子はきっと忘れてしまっているだろう、子供同士の簡単な約束事。

私はそれを胸の中でとても大切にしまい込んで生きてきた。

そして、約束と共に芽生えた小さな恋心も、胸の奥深くにしまってある。
その恋心が、私のこの不安をより大きなモノにしつつある。


112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:28:31.90 ID:KepSYMOQO

私はずっと櫻子と一緒にいたい……けれど、きっとそれは無理なこと。

『女の子が好き』だなんて知れたら、きっと櫻子だけでなく周りの子も気味悪がって離れてしまうだろう。

気持ちを隠していたって、いずれ離れる時が来てしまう。

じゃあ……私は一体どうすればいいのだろう?



115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:30:35.02 ID:KepSYMOQO

……………


櫻子「おーい向日葵ー!来てやったぞー!……って何黄昏れてんのさ、正直似合わないよ?」

向日葵「……」



向日葵「なっ……べ、別に黄昏れてなんかいませんわよっ!それに『来てやった』って、誰も呼んだ覚えはありませんわよ?」

櫻子「えー、言ってたじゃん。『櫻子様の宿題を代わりにやらさせていただきますわ!』って。」

向日葵「滅びれろ。そんなこと言うなら、宿題写させてなんかあげませんからね!」

櫻子「なんだよー!ケチ!ケチっぱい!」

向日葵「はいはい、何とでもおっしゃいなさいな。」


116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:31:53.63 ID:KepSYMOQO

またいつものペースに持ち込まれてはかなわないので、早いうちに話を切り上げようとする。

私だって、いつも好きで好きな人と殴り合いの喧嘩をしているわけではないのだ。



櫻子「ふんだ!せっかく遊びにきてやったのに!向日葵なんかこれからずっと一人、部屋で勉強でもしてりゃあいいよ!」




ひとり……


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:33:05.37 ID:KepSYMOQO

一人。
私一人。

ずっと……ひとり……?




『…まちゃん、だいす……』

『いつでもずっと、いっ……だから……』




向日葵「……っ!!」

パシンッ



119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:33:59.15 ID:KepSYMOQO

櫻子は、テレパシーや読心術でも身につけているかのように、時々核心に触れるようなことをズバズバ言う。
これで口喧嘩が大喧嘩に発展することも少なくない。
別に、櫻子が間違ったことを言っているわけではないのだけど。


私は本心を見抜いているような櫻子の物言いに、とっさに手が出てしまっていた。

しかしそれ以上に……。


121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:36:21.83 ID:KepSYMOQO

櫻子「いったぁー……別に殴ることないじゃんかっ!!……あ……」

向日葵「うう……ひっぐ……」ポロポロ



櫻子の『言葉の一撃』で、大きな不安や櫻子への気持ち、その他諸々が込み上がってきて私の目から溢れていた。

こんなに涙が出るのは何年ぶりだろうか。あの約束をした日以来かな。


123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:37:54.49 ID:KepSYMOQO

櫻子「え、うそ……ご、ごめん、向日葵……。泣かせるつもりじゃなかったんだよぅ……。」


そんなことはわかってる。
だって私も本当に泣くつもりじゃなかったし。


向日葵「うぇぇん!さくらこのばかぁー!」ポロポロ

櫻子「ごめんごめんごめんなさいっ!マジで泣くとは予想外すぎるよ。」


124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:38:52.18 ID:KepSYMOQO

ゴシゴシと、自分の着ているシャツで私の止まらない涙を拭ってくれる櫻子。

ちょっと力が強くて痛いけれども、今の私の涙腺にはちょうどいいくらいかもしれない。


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:40:04.42 ID:KepSYMOQO

……………


どのくらいの間、私は泣いていたんだろうか。

泣き疲れて眠そうな私を心配そうに見つめながら櫻子は

櫻子「もう、泣くんだったら事前に言えよなー。こっちにも心の準備ってもんが……」

と、悪態を吐いている。
さっきまで、狼狽しきっていた人間の台詞とは思えず、少し笑えてくる。


127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:40:57.45 ID:KepSYMOQO

櫻子「な、なんだよ?泣き終わったと思ったら今度は笑いだしたりして……気味悪いなぁ。」


向日葵「ご、ごめんなさい……ただ、櫻子が面白くって……。」フフッ

櫻子「あ!また笑ったなぁ!……なんだよ、心配して損した!」プイッ


櫻子は笑われたのが気に入らないらしく、そっぽを向いてしまった。
そんな姿が小さい頃からちっとも変わってなくて、櫻子はかわいいな……と心から思う。


129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:42:36.20 ID:KepSYMOQO

櫻子「なぁ……向日葵?」


向日葵「え……?な、なんですの?」



急に呼びかけられたと思ったら、櫻子は凄く真剣な表情をしてこちらを振り返った。



櫻子「何か……どんな小さなことでもいいから、心配なことがあったら……私に言えよな?」

向日葵「……」


131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:43:50.09 ID:KepSYMOQO

さっきの私の涙から、櫻子はやけに優しい。やっぱり女の涙は武器になるのかしら。
その櫻子の優しい言葉に、枯れたはずの涙がまた目を潤ませる。

そして、出てきたのは涙だけではなかった。


向日葵「櫻子……。」

櫻子「うん。大丈夫。私は向日葵のことだったらなんだって受け止められる自信あるし!」


向日葵「あのね……」





132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:44:44.40 ID:KepSYMOQO




「私たち、いつまで一緒にいられるのかしら……」





133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:45:50.98 ID:KepSYMOQO

櫻子「えっ……?」



なんだか意外な質問をされたような顔をしている櫻子。


向日葵「私ね……、近頃ずっとずっとずーっと、そんなことを考えているの……。」

櫻子「……」

向日葵「櫻子とは本当に小さな頃から二人一緒でしょう?だけど……これからのクラス替えで一緒のクラスになれるかどうかわからないし……。」


135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:46:43.90 ID:KepSYMOQO

櫻子「まぁ……そりゃあ……。」

向日葵「それに……これから高校、大学と進んで行ったら、きっと櫻子とは一緒にいられませんわ……。」

櫻子「けど、家は隣同士だし……」

向日葵「学校が変われば、きっとお互いに会いづらくなって……疎遠になりますわ……。」


136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:47:37.10 ID:KepSYMOQO

櫻子は以前のように茶化すことはしなくなって、むしろとても真剣に聞いてくれる。
女の涙パワーは恐ろしい。
けど、いつもの櫻子らしくないのはそれはそれで物足りない。



向日葵「そんな不安がドンドン膨らんでいって、辛くなって、今日櫻子に『一人でいろ』って言われて……泣いてしまったんですの。」

櫻子「わ、私があんな軽口を叩かなければ……。」

向日葵「いいえ、いずれどこかで不安が爆発して大変なことになっていたと思いますから、よかったんですのよ。」


138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:49:06.36 ID:KepSYMOQO

私の話を聞いている間、櫻子は何かに悩んでいるような顔をしていた。
しかし最後には決心が付いた、そんな表情に変わっていた。


……………

櫻子「向日葵の不安、よぉーくわかった!」

向日葵「櫻子に真剣に聞いてもらえただけで嬉しかったですわ……。では、櫻子の宿題を……」

櫻子「いやいや、ちょい待ち!私何も答えてないじゃん!」

向日葵「いえ、ですから聞いてもらえただけで結構ですって……。」


139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:49:56.65 ID:KepSYMOQO

櫻子「それじゃあ私の気がすまん!質問されたんだから答える!」

向日葵「まぁ……そこまで言うんでしたら聞かせていただきましょうか、答えを……。」


櫻子のいつにない真面目な表情に、私は何かを期待していた。
『何か』はわからないけれど。


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:51:22.87 ID:KepSYMOQO

櫻子「まず結論から言わせてもらう!いつまで一緒にいれるかだって?……知るかそんなもん!」

向日葵「なっ……」

期待した私が馬鹿だったのかもしれない……。




櫻子「向日葵が私と一緒にいたいと思うなら、いつまでだって一緒にいてやるよ!」

向日葵「……!?」

櫻子「ただし、私が向日葵と一緒にいたいなって思う時は、向日葵も私といつでも一緒にいること。これが条件な!」




櫻子「私と一緒にいたいなら、いればいいじゃん!」


142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:52:54.05 ID:KepSYMOQO

向日葵「けど、クラス替えとか……。」

櫻子「だぁーから!もう!向日葵と私の絆って、そんな脆いものなの!?クラスが変わったくらいで、私たち二人が変わるわけないし……私が変えさせないし!」



ああ……櫻子はなんて強い子なんだろう。
そんな姿に私は惹かれ、恋したのだ。

だけど……。



向日葵「だけど……受験は……?」


櫻子「え?ああ、向日葵には言ってなかったっけ?私は向日葵と一緒のとこ受けるよ。」


143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:53:49.32 ID:KepSYMOQO

え……?私と一緒……?

向日葵「だ、ダメですわよっ!そんな……私のために人生に関わるような選択を蔑ろに……」


櫻子の人生や学力を心配する私をよそに、櫻子は呆れた顔をして


櫻子「向日葵は少し自己チューなとこあるよねー……。」

と、言った。


144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:55:04.04 ID:KepSYMOQO

櫻子「別に、向日葵のために同じ学校目指すわけじゃないんだから!私が向日葵と一緒のとこ受けたいって思ってんの!わかる?」


向日葵「……」ポロポロ



ああ、今までの私の不安はなんだったのだろう。
櫻子の言うとおり、私は一人で勝手に決め付けて不安に陥っていただけだったのだ。
そう思うと、どこから湧いてきたのか涙がまた溢れてきていた。



櫻子「ああっ……また泣いて……もう、今日の向日葵は泣き虫だなぁ。」フフッ

向日葵「さ、さくらこが悪いんですからぁ……ひっく」ポロポロ




櫻子「じゃあ……向日葵が二度と不安な気持ちにならないように、私がおまじないかけてあげるよ……。」


146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:55:53.01 ID:KepSYMOQO

櫻子の調子が急に変わって、私はまた少し不安になった。


向日葵「さ、櫻子……?なんですの、おまじないって……。」

櫻子「本当はもっと後に言おうと思ってたんだけどなぁー……ほら向日葵!恥ずいから後ろ向け、後ろ!」


突然真面目な雰囲気になったと思ったら、今度はやたら照れている。
いつものコロコロ表情が変わる櫻子でも、こんな急激な変化は初めて見るかもしれない。


147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:56:39.35 ID:KepSYMOQO

向日葵「後ろ、向きましたわよ……一体なんなんですの……?」




櫻子「今から言うから、真面目に聞けよ……?」

向日葵「わかりましたから早く……」

櫻子「……私はっ!!」

向日葵「!!」ビクッ




148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:57:27.31 ID:KepSYMOQO



「私は、向日葵が好き。」

「向日葵が大好きなの。」





149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 01:58:29.49 ID:KepSYMOQO

……………

『ひまちゃん、だいすき!』

『いつでもずっと、いっしょだからね!』

『やくそくだからね!わすれちゃだめだよ!』

……………


指切りげんまん

そうだ……。
あの時、私たちは約束したんだ……。
好きだから……いつでも一緒にいるって……。
いつの間にか私は不安ばかり膨らませて、大事なことを忘れていた……。


151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 02:00:03.94 ID:KepSYMOQO

向日葵「さくらこ……っ!」

櫻子「だぁー!まだこっち向くな!恥ずかしいんだからっ!///」



ギュッ


櫻子「な……、ひまわり……?///」

向日葵「これでしたら……顔を互いに見なくても済みますでしょう?」ポロポロ


私は櫻子を、ぎゅっと抱きしめた。
あんなこと言われたら……私だって我慢できない。
照れて離れようとする櫻子を絶対に放すまいと、私は強く強く櫻子を抱きしめた。
櫻子の肩に身体を預けると、真っ赤になった耳が目に入った。
……かわいい。


153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 02:00:50.57 ID:KepSYMOQO

向日葵「櫻子……私からもお返しのおまじない……受けとってもらえますわよね?」

櫻子「え!?いいよ!別に!今は!今はすげー恥ずかしいから止めてっ!///」

向日葵「まぁまぁ遠慮なさらずに……。」







櫻子が私を離さないように……。
私が櫻子と離れないように……。





154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/28(水) 02:01:45.41 ID:KepSYMOQO



ずっと一緒にいようね。




おしまい


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■コメント

 [名無しさん]

朝からいいものを読ませてもらいましたわー!
二人にはほんとずっと一緒にいてほしい

 [名無しさん]

泣きそうになった
ひまさくまじひまさく

 [名無しさん]

朝からキュン死した

 [名無しさん]

さくひま最高や!

 [名無しさん]

にやにやが止まらへん…!

 [名無しさん]

ひまさくはほんとにはずれがないなあ

 [名無しさん]

やっぱひまさくはいつ見てもいいもんだな~
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