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ちなつ「幼馴染み、か……」

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:00:28.95 ID:ef1w7+CO0

櫻子「あーもうつかれたー」グダグダ

向日葵「ちょっと、あなたを勉強させるためにこうしてみなさんが来てくれてるんですのに」

櫻子「うそ、そうだったの!? 普通に遊びにきてくれたのかと思ってた……」

向日葵「遊びに来たなら真っ先に勉強始めないでしょう……」

櫻子「うーんなんかおかしいなとは思ってたんだけど……私のためにだったのか」

あかり「あははは……でも休憩も必要だもんねぇ」

ちなつ「わたしも疲れたかもー。ちょっと休もうか」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:03:59.79 ID:ef1w7+CO0



ちなつ「櫻子ちゃん、この写真いつの?」

櫻子「んー、それは小3かなあ……?」

あかり「可愛いね~。周りの人はお姉さんと向日葵ちゃんと花子ちゃんかな?」

向日葵「あなたこれちゃんと飾ってますのね。偉いじゃない」

櫻子「だって写真って飾る以外にどうしていいかわかんないし。ねーちゃんにもしまうなって言われたからね」


あかり「みんな今とそんなに変わってないね~」

ちなつ「お姉さんが今の私たちと同じ年なのかな? この頃からかっこいいね」

あかり「櫻子ちゃんのお姉さんかっこいいよねぇ」

櫻子「そ、そんなに……?」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:07:32.16 ID:ef1w7+CO0

向日葵「撫子さんは凄い人ですわ。櫻子もああなってくれたら嬉しいんですけど」

櫻子「私には私だけの良さがあるもんね」フン

向日葵「例えば?」

櫻子「それは向日葵の方が良く知ってるんじゃないのー?」ニヤニヤ

向日葵「…………」


向日葵「…………///」

櫻子「お、おい! なんで赤くなってんだよ!///」

向日葵「だ、だって……」

櫻子「違うぞ! たぶん私の言ったことと今想像してるのは違うぞ!」

ちなつ(くっ……幼馴染みめ……)

あかり「あ、あははははは……」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:11:13.26 ID:ef1w7+CO0



ちなつ「もう! 最近あの二人仲良すぎない!?」

あかり「うーん……ちょっと前まではいっぱいケンカしてたからねぇ」

ちなつ「いがみ合ってる頃の二人にもう慣れちゃったから、なんか今は変な感じ……」

あかり「でももともと仲悪かったわけじゃないと思うし、写真見たときも思ったけど、昔からすっごい仲は良かったんじゃないかなぁ」


ちなつ「いいなぁ幼馴染み……」ボソボソ

あかり「え?」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:14:56.79 ID:ef1w7+CO0

ちなつ「あ! あかりちゃんって、結衣先輩とかと幼馴染みなんだよね!?」

あかり「う、うん……」

ちなつ「小さい頃の結衣先輩ってどんな感じだった!?」キラキラ

あかり「えーっと、結衣ちゃんは今と同じで、皆の頼りになるお姉さんだったよ~。今よりちょっとやんちゃだったかな……?」

ちなつ「ああ! 見えるわ! 話を聞いただけで目蓋の裏に幼少期の結衣先輩がありありと浮かび上がってくるわ!」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:19:18.03 ID:ef1w7+CO0

あかり「……ちなつちゃんは、幼馴染みっていないの?」

ちなつ「うん……お家の都合でちょっと転校があったりしたから、あんまりそういう子はいなかったかなぁ……」

あかり「そ、そうなんだ~」

ちなつ(あれ? でもいたかなぁ……私が忘れちゃってるだけかも)

あかり「あっ、あかりはちなつちゃんのこと、幼馴染みよりも強く友達だと思ってるからねっ!///」

ちなつ「あかりちゃん……!」


ちなつ「……ふふ、ありがとー」ぎゅっ

あかり「えへへへ……///」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:23:05.05 ID:ef1w7+CO0

――――――

ちなつ(小さい頃の私は落ち着きが無くて、友達と仲良くするのが下手だった)ちゃぽん

ちなつ(そこに数回転園が入ったから、新しい友達をつくるのも苦手で、いつもすぐ家に帰っておねえちゃんと一緒にいるのが好きだった)

ちなつ(今更悔やんでも仕方ないことだけど……)ぷくぷく

ちなつ「欲しかったなぁ……幼馴染み」

コンコン

ちなつ「? はーい」

ともこ「おねえちゃんも一緒に入っていいかしら?」

ちなつ「あ、うんいいよー」

ともこ「失礼しまーす……」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:26:10.60 ID:ef1w7+CO0

ちなつ「おねえちゃん、私の小さい頃の友達のことって覚えてる?」

ともこ「ちなつのお友達?」

ちなつ「うん。どんな子がいたか忘れちゃって……」

ともこ「ちなつはよく公園にいたから、ご近所さんと仲が良かったわね。まいちゃんにゆりちゃんにるりちゃん、せいらちゃん、ともみちゃん……」

ちなつ「え!? 待って待って、そんなにいた!?」

ともこ「おねえちゃんはちなつのお友達のことはちゃんと覚えてるわよ? というか全部ちなつがおねえちゃんに話してくれたのよ」

ちなつ「うそ……そうだったっけ」

ともこ「まあでも……転校とかあったし、長続きはできなかったのよね。おねえちゃんもその辺りはちょっと大変だったわ」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:31:02.44 ID:ef1w7+CO0

ともこ「そうだ、あやちゃんのことは覚えてるんじゃない?」ぽん

ちなつ「あやちゃん??」

ともこ「あやちゃんよ。ちなつが公園でお友達になったご近所さん。一回お家に連れてきてくれたこともあったわね」

ちなつ「んー……だめだ~わかんない」

ともこ「あらあら……ちなつ、いつもあやちゃんと会うときは楽しそうにしてたわよ?」

ちなつ「あやちゃんの本名は?」

ともこ「それはおねえちゃんもちょっと覚えてないわ……あや、あやか、あやこ、あやの、あやめ、いろいろ考えつくわね」

ちなつ「もう……大切なお友達を忘れちゃうなんて、嫌だなあ」

ともこ「しょうがないわ。おねえちゃんも忘れてるお友達がいるかもしれない。昔のことも大切だけど、それ以上に今を大切にすればいいのよ」わしゃわしゃ

ちなつ「今を……」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:34:33.90 ID:ef1w7+CO0

ちなつ(私にとっての今は、本当に大事だ。今までにないくらい)

ちなつ(今の友達のことは、何があっても忘れない)

ちなつ「うん。大切にする」


ともこ「あ、そうそう。ちなつ、明日暇?」

ちなつ「暇だよ。何かあるの?」

ともこ「良かったら、おねえちゃんのお洋服選びに付き合ってくれない? その後にスイーツ巡りとかもしようかしら」

ちなつ「うん! いくいく!」

ともこ「それじゃあ用意しておいてね♪」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:37:47.34 ID:ef1w7+CO0

――――――

ちなつ「久しぶりだなぁ、おねえちゃんとショッピング」


ちなつ「…………」

ちなつ(やっぱりおねえちゃんはすごいな)

ちなつ(私も覚えてない私の友達のことを覚えてるなんて)


ぐっ

ちなつ(……なんで忘れちゃったわけ)

ちなつ(おねえちゃんに紹介するくらい良いお友達だったんでしょ?)

ちなつ(そんな大切なことも覚えてない私は、人として何かが欠けてるのかもしれない)

ちなつ(……この頭が)もふもふ


ちなつ(忘れたくないことばっかり、忘れていくんだ)


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:41:07.57 ID:ef1w7+CO0

ちなつ(今の友達のことを……)

ちなつ(結衣先輩を、あかりちゃんを、京子先輩を、みんなを)

ちなつ(絶対に忘れない保証がない……)


ちなつ「いやだいやだいやだ!」ぎゅっ

ちなつ(忘れたくない……大切なの!)


ちなつ(あやちゃん……ごめんね)


ちなつ(大切だったのに、もう何も覚えてないんだよ)ポロポロ


ちなつ(向こうは私のことを覚えてるのかな……)


ちなつ(今を大切に、今を……)


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:46:05.10 ID:ef1w7+CO0



ガチャ

ともこ「ちなつ、起きてる……?」

ちなつ「zzz……」

ともこ(あらあら)


ちなつ「ん、んん……」


ちなつ「あゃ……ちゃん…………」

ともこ「!」


ともこ(ちなつ……)


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:49:50.08 ID:ef1w7+CO0

そっ

ちなつ「…………」

ともこ(………がんばるのよ)

ともこ(おねえちゃんはちなつの味方よ……)


ともこ「おやすみなさい、ちなつ」

パタン

ちなつ「zzz……」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:53:22.55 ID:ef1w7+CO0

――――――

公園だ。

大きな木のある公園だ。

前のお家の隣りにあったところだ。

私は誰かを待っている。

誰だっけ。

「ちなちゃん!」

あ。

この声は、

「あやちゃん!」

あやちゃんだ。

この子があやちゃんだ。


顔が見えない……顔を見たい。

私の大切なお友達……!

待って……!!


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 21:57:31.81 ID:ef1w7+CO0



チュンチュン……

ちなつ「…………」

ちなつ(夢……)


ちなつ(姿は見えた気がする。あれがあやちゃんだ)

ちなつ(いつか……いつか思い出せるときがくるかな)

ちなつ(あやちゃんが私を覚えてる可能性だってあるもんね)

ちなつ(今を大切に、今を)


ちなつ「仕度しなきゃっ」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:00:46.46 ID:ef1w7+CO0

――――――

ちなつ「これはどう?」

ともこ「あ、いいかも……」

ちなつ「これほら、ここがこうなってて可愛い!」

ともこ「ちょ、ちょっとおねえちゃんには若すぎない?」

ちなつ「おねえちゃん充分若いじゃん! 大丈夫大丈夫♪」

ともこ「うふふふ……」

ともこ(ちなつは、ちゃんと元気ね)


ちなつ「あ、こっちの方が……」


「吉川さん?」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:04:01.44 ID:ef1w7+CO0

ちなつ「えっ?」

綾乃「あら、やっぱり吉川さんだわ」

ちなつ「杉浦先輩!」

ともこ「?」

ちなつ「あ、私のおねえちゃんです。この人は杉浦先輩。うちの学校の生徒会副会長さんなの♪」

綾乃「初めまして。杉浦です」

ともこ「あらあらどうも。ちなつの姉のともこです」

ちなつ「そういえば前ここに来たときも先輩に会いましたね」

綾乃「そうね。吉川さんもよく来るの?」

ちなつ「はい♪ 今日はおねえちゃんの付き添いですけど」

ともこ「…………」

綾乃「お姉さんとても綺麗ですね♪」

ともこ「えっ、ああそう? ありがとうね♪」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:08:00.34 ID:ef1w7+CO0

――――――

アリガトウゴザイマシター

ちなつ「先輩はこれからどうするんですか?」

綾乃「えーっと……適当に本屋でも回って帰ろうとかかしら」

ちなつ「もし良かったら、私たちこれからあそこのケーキ屋さん行くんですけどどうですか?」

綾乃「え? ああ、あそこ……行ったことはないけど知ってるわ。結構評判いい所よね」

ちなつ「あそこのケーキ本当に美味しいんですよ♪ 特に……」

ともこ「杉浦さん、是非一緒にきてくれないかしら」

ちなつ(えっ?)


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:11:16.74 ID:ef1w7+CO0

ともこ「本当に、本当に美味しいの。なんなら私が奢るわ」

綾乃「い、いやお姉さんそんな……」

ともこ「お願い。私も杉浦さんともっとお話したいの」

ちなつ(……??)


綾乃「え、えっと……じゃあ少しだけ……///」

ともこ「! ありがとう……!」

ちなつ「それじゃ、いきましょうか♪」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:15:08.70 ID:ef1w7+CO0



ちなつ「んーおいしい!」

綾乃「このクリームすごい……///」

ともこ「抹茶ケーキも美味しいわね♪」

ちなつ「抹茶! 私もとってこようかな♪」たっ


綾乃「ごめんなさいお姉さん……奢りだなんてそんな」

ともこ「いいのよ? 私は大学生だし、お金にはちょっと余裕あるし♪ …………それでね」

綾乃「?」

ともこ「ちょっと……」ごそっ

綾乃(携帯?)

ともこ「番号とアドレス、交換してもらえる?」

綾乃「え!? どうして……」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:18:36.14 ID:ef1w7+CO0

ともこ「詳しくお話したいことがあるの。できれば、後で “二人で” で会いたいわ」

綾乃「ふ、二人で……?///」

ともこ「ちなつには内緒でね。とっても、とっても大切なことなの」

綾乃(そ、それって……///)


ちなつ「お待たせしましたー。抹茶もいくつかあるみたいでしたので、ちょっと何個か取ってきました♪」

ともこ「あら、それも美味しそうね♪」

綾乃「…………」

ちなつ「……先輩?」

綾乃「あっ、あ、とっても美味しそうね!」

ちなつ「先輩もおひとつどうぞー」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:22:53.58 ID:ef1w7+CO0

――――――

ちなつ「それじゃ先輩、ここで」

綾乃「ええ。また学校でね」

ともこ「またね、杉浦さん」

綾乃「は、はい……お姉さんも///」



綾乃「お、お姉さん急にどうしたのかしら……///」

綾乃「あ……早速メール入ってる」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:26:14.91 ID:ef1w7+CO0

「今日は急にごめんなさい。初めて会ったのに詰め寄ってしまって……

でも、どうしても話したいことがあって。


私の目と記憶に間違いがなければ、私は杉浦さんと会ったことがあるわ。


○○町に住んでいたことがあるなら、その時のことを思い出して欲しいの」


綾乃「!!」

綾乃(○○町……確かに住んでいたことがある)


「できれば後で二人で会ってお話したいです。

都合の良い日を教えてください。」


綾乃「…………」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:29:35.71 ID:ef1w7+CO0

――――――

ともこ「とてもいい人ね、杉浦さん」

ちなつ「しっかりものの先輩なんだ~」

ともこ「ちなつは良い先輩に恵まれてるわね♪」

ちなつ「えへへへ……///」

ともこ(……先輩、ね)


~♪

ちなつ「あ、メール?」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:33:04.20 ID:ef1w7+CO0

ともこ「ちょっと、ごめんね?」

ちなつ「いいよいいよ、気にしないで」

ともこ「…………」カチカチ

「今日は親がいないので、今夜にでも会えます。

8時に公園でどうですか?」


ともこ(……話が早いわ)

ともこ(よろしくお願いします……っと)

ちなつ(なんだろ、すごい真剣……)


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:36:22.35 ID:ef1w7+CO0

――――――

綾乃「…………」

綾乃(自分で時間指定したのに早く来すぎちゃったわ)

綾乃(◯◯町……)


綾乃(自分でもちょっとわかってた)

綾乃(吉川さん……初めて見た時は、あれ? と思った)

綾乃(歳納京子にべったりくっつかれてたことよりも、違和感を覚えたこと……)


綾乃(吉川さんが、ちなちゃんかもしれないということ……!)


綾乃(人見知りな私が、一番すんなり友達になれた子)

綾乃(大事な話って……これ以外思い浮かばない)


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:39:38.97 ID:ef1w7+CO0


――
―――
――――


幼稚園の頃だ。

私は、七森とは離れた場所に住んでいた。

人見知りで、誰かに話しかけるのが苦手だった。幼稚園でも話せる子は少なかった。

公園の隣に住んでいたので、小学生のいない時間帯は私はそこにいた。

遊具もあまりない小さな公園。大きな木のある公園。


ある日そこに向かうと、いつも誰もいないはずの公園に、一人の女の子がいた。

女の子は、ブランコに座って泣いていた。


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:42:51.82 ID:ef1w7+CO0

何故かはわからない、自分でも驚くほどすんなり、私は彼女に話しかけた。


「なんでないてるの?」


「おともだちと、さよならしなきゃいけないの」

「おひっこしのせいで、もうまえのおうちにはもどれないの」

「せっかくできたおともだちだったのに……」


その言葉が出て来るのに時間はかからなかった。

人に、こんなことを言うのは初めてだった。

この子が、放っておけなかった。

「わたしが、おともだちになってあげる!」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:46:00.20 ID:ef1w7+CO0



ちなちゃん。

彼女の名前だ。

この町には、次のちゃんとした家が見つかるまでの仮住まいとして来ているらしい。


最初は泣いていた彼女であったが、すぐに笑顔を見せてくれた。

私をあやちゃんと呼んで、一緒に遊んだ。

ちなちゃんとの時間はあっという間にすぎていった。

初めて、自分から友達をつくった。

友達とはどういうものかを、知ることができた気がした。


明日もまた、会う約束をした。

ゆびきり。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:49:38.10 ID:ef1w7+CO0

ちなちゃんは毎日、私よりも先に公園にきた。

小学校に行っているおねえちゃんが帰ってくるまでは、家に居たくないという。


ある日私は、今日は公園ではなく私の家に来ないかと誘った。

ちなちゃんは私の家に来るととても楽しそうにしてくれた。

一緒に本を読んだ。

一緒におやつをたべた。


私はちなちゃんが好きだった。

ちなちゃんも、私を好きだと言ってくれた。

ちなちゃんは、私の親友だった。


別れる時は、いつも悲しそうにしていたちなちゃん。

「あしたもあえる?」

「あしたも、ぜったいにくるから」

ゆびきり。


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:53:44.89 ID:ef1w7+CO0

別れは突然だった。

ちゃんとした家ができたので、数日後にこの町を出て行くという。


私はまだ、それがどういうことなのか深く受け止められなかった。

初めての親友なのだ。

友達を失う体験をしていないから、しっくりこないのだった。

だから、彼女が泣く意味がわからなかった。


結局その日は、ちなちゃんは泣いてばかりだった。

私は、今度はちなちゃんの家に行ってみたいといった。

首を縦に振る代わりに、黙ってちなちゃんはマンションに案内してくれた。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 22:57:15.74 ID:ef1w7+CO0

その家には、何もなかった。

引っ越す直前だからではないという。もともとそんなに物は置いていなかったのだそうだ。

こんなのが家なのかと疑った。初めて見た光景だった。

何もない部屋の真ん中に座る。

家に帰りたくないと言っていた意味がわかった。


その日はお姉さんもいて、小学校のお話をしてくれた。

楽しかった。が、私はちなちゃんの笑顔が見れないので、すぐに公園に戻った。

私も、生活感の無い部屋に耐えられなかった。


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:01:05.53 ID:ef1w7+CO0

最後の日、ちなちゃんは泣かなかった。

明日の朝、ここを出るという。

まだ実感の掴めていない私は、その日もいつも通り遊んだ。

ちなちゃんも、いつも以上の笑顔を見せてくれた。


しかし、ゆびきりは違った。

明日は、もう会えないのだった。

ちなちゃんは泣いた。

その顔を見ていると、何故か私も泣いてしまった。

ちゃんとしたさよならは、言えなかった。

ゆびきりも、しなかった。


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:05:07.90 ID:ef1w7+CO0

次の日の朝。

私は誰にも起こされずに早起きできた。

ずっと心がもやもやしている。

お母さんに見つからないように家を出て、ちなちゃんのマンションに向かった。


しかし、マンションに向かう途中のいつもの公園に、探していた姿はあった。

「ちなちゃん!」

ちなちゃんは、最初のときみたいにブランコで泣いていた。

俯いていた顔をあげる。それを見て私はまた泣きそうになった。

「もういっちゃうの?」

「うん……おわかれなの」

「あしたはもうここにこれないの?」

「これない。とおいところにいっちゃうから」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:08:36.49 ID:ef1w7+CO0

向こうの方で、お姉さんがちなちゃんを呼んでいる。

そこで初めて、ちなちゃんがいなくなることをはっきりと理解した。

ちなちゃんはもう泣き止んでいたが、今度は私が泣いてしまった。


声にならない声で、最後のゆびきりをした。


明日は会えないかもしれないけど、

いつか、きっと、会えるときはくるよね。


車に乗って行ってしまったちなちゃんを、私は大きな木の陰から見ていた。

私が家にいないと気づいたお母さんが見つけてくれるまで、私は木の下で泣いていた。


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:12:39.28 ID:ef1w7+CO0

次の日、本当にちなちゃんは来なかった。

ちなちゃんのいない公園は、なんにも面白くなかった。

大きな木の下で枝を拾って、マンションのインターホンを押した。

何回も、何十回も押した。枝はついに折れた。でも、誰も出てこない。


本当に居なくなったんだ。

扉の前で、私はまた泣いた。


それから私は、公園にはいかなくなった。

ちなちゃんのいない公園にはいきたくなかった。

ちなちゃんと遊んだことを思い出すと、また泣いてしまうからだ。

初めての友達は、

私の一番の友達は、


もう……


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:16:37.67 ID:ef1w7+CO0

――――――

綾乃(あの町には、小学校にあがるとともに引っ越したからもう長いこと行ってない)

綾乃(行った先の小学校で会えるかもしれないなんて望みを持っていたこともあったけど、それはすぐに崩れた)

綾乃(よくよく考えてみたら、私はちなちゃんの年を知らなかったから。同い年か、ひとつ下か、はてはひとつ上かとも思ってた。それに引っ越した先の住所もわからなかった)

綾乃(学校にはもちろんちなちゃんはいなくて、それから長い期間が経って、私はもうちなちゃんのことはあまり覚えていない)


綾乃(吉川さんが……)


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:19:44.75 ID:ef1w7+CO0

ともこ「お待たせっ」

綾乃「あ……お姉さん」

ともこ「はい、これお茶」すっ

綾乃「ありがとうございます」


ともこ「それで、さっそく本題に入るけど……」


綾乃「はい、そうです。全部思い出しました」


私が……ちなちゃんの親友のあやちゃんです。


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:23:39.47 ID:ef1w7+CO0

――――――

綾乃「…………」

千歳「綾乃ちゃん、おはよ~」

綾乃「おはよう、千歳」

千歳「……なんかあったん?」

綾乃「えっ!? い、いや特には……///」

千歳「隠してもあかんよー。うちは綾乃ちゃんのことならなんでもお見通しやからなー」クスクス

綾乃「うふふ……」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:27:43.28 ID:ef1w7+CO0



ともこ『引っ越してからしばらく、ちなつはあなたを思い出して泣いていたわ』

ともこ『昨日もそう、あの子とあなたの話をした。寝ているときは、あなたの名前を呼んでいたわ』

ともこ『あなたも気づいていたかもしれないけど、二人はこうしてまた巡り合えたわけなのね』

ともこ『でもね、ちなつはまだあなたがあやちゃんだということに気づいていないと思うわ』


綾乃(私は……吉川さんにどうしてあげればいいの)

綾乃(……このまま吉川さんには気づいてもらわずに、何も伝えないのも手かもしれない)


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:31:10.12 ID:ef1w7+CO0

綾乃(吉川さんは今は船見さんが大好きで、他にもたくさんの友達を持っているもの)

綾乃(私だって……あの頃のようにちなちゃんと接することはできないかもしれない……)


綾乃(ちなちゃんは、吉川さんになってしまったから)


綾乃(でも……伝えたいことはたくさんある)

綾乃(私が、 “ちなちゃん” に伝えたいこと)


綾乃(……そうだわ!)


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:34:23.04 ID:ef1w7+CO0

――――――

ちなつ「じゃあ、私先に行ってるねー」

あかり「あかりもお掃除終わったらいくよ~」


ガチャ

ちなつ(え?)

ちなつ(手紙……??)パサッ


ちなつ「!!!」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:37:47.23 ID:ef1w7+CO0



ちなつ「…………」

京子「ちなっちゃんそれ何読んでるのー?」

ちなつ「こっ、これはなんでもないですっ!」

京子「えー気になるー♪ こうなったら力ずくでも奪い取る!」

結衣「やめんか」びしっ


ちなつ「これは大切なものなんです! 誰にも見せられませんね!」

結衣「手紙? もしかしてラブレターとか?」

ちなつ「い、いえそういうものでは……///」

京子「じゃあ私じゃなくてさ、結衣が見せてって言ったら結衣に見せる? その手紙」

ちなつ「…………」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:40:55.25 ID:ef1w7+CO0

ちなつ「結衣先輩、ほんっっっっとうに申し訳ありません! ですがこれは結衣先輩にも見せるわけにはいかないくらい大切で……!」

結衣「いやいいよ? 私何も言ってないし……そっか、大切なものなんだね」

ちなつ「はい……///」

京子「えーますます気になっちゃうよー」

ちなつ「ちょっと! こっちこないでください!」

京子「あーお茶無くなっちゃった。ちなつちゃん淹れてくれない?」

ちなつ「手紙は見せませんよ」

京子「くっ……固ってえなオイ」

結衣「諦めろよ……というか私のお茶も無いから京子淹れてきて?」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:44:22.22 ID:ef1w7+CO0

京子「むー仕方ないなー。じゃあ京子様がいってきてやるかー」

ちなつ「すみません先輩、次はちゃんと私が淹れますから……!」

結衣「いやいや、いつもちなつちゃんばっかりに任せちゃってごめんね。今度は私もやろうかな」

京子「というかさ、そのレターセット? 人気なのかな」

ちなつ「え?」

京子「この前綾乃と文房具屋さんに行ったんだけどさ、同じの買ってたよ」

結衣「へぇ。確かになんかオシャレだね」

ちなつ(杉浦先輩が……??)


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:48:52.23 ID:ef1w7+CO0

ガラッ

綾乃「としのーきょーこー!」

結衣「お、噂をすれば」

綾乃「あら、船見さんと……よ、吉川さんだけ?」

ちなつ「…………」


結衣「ああ、京子は今あっちで……」

ちなつ「杉浦先輩!」


綾乃「……はい?」


ちなつ「…………」

綾乃「…………」

結衣・千歳「?」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:52:51.13 ID:ef1w7+CO0

ちなつ「ゆ、ゆびきりしませんか……??///」

綾乃「……ゆびきり?」

ちなつ「いきなりすみません……でもどうしても、先輩としたくなっちゃって」

綾乃「……そうね。私も吉川さんとゆびきりしたかったわ」

ちなつ「!!」


結衣(千歳……この二人なんかあったの?)

千歳(ちょっとウチにもわからんわぁ……どうしたんやろ)


ちなつ「せ、先輩は、やっぱり……!」

綾乃「…………」


綾乃「ちなちゃん……」すっ

ちなつ「あ、あやちゃん……!///」ぎゅっ


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:56:00.67 ID:ef1w7+CO0

京子「おわっ! なにこれ、どういう状況!?」

結衣「ぜ、全然わからん」


綾乃「うるさいわね! 私と吉川さんは親友同士なのよ!///」

ちなつ「先輩……会いたかった……」ぐすん


京子「わー綾乃がちなつちゃん泣かしたー!」

千歳「よ、吉川さん大丈夫かぁ?」

結衣「親友って……初耳だな」

京子「しかも今あやちゃんとかちなちゃんとか言ってなかった!? うおー二人ってどういう関係なわけー!?」


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/05/15(火) 23:59:02.84 ID:ef1w7+CO0

綾乃「だから、言ってるでしょ」

ちなつ「あやちゃんは、私の親友なんです!!」

綾乃「そして、幼馴染みでもあるかもね」


京子「幼馴染み!? 幼馴染みいない系女子として名高いちなつちゃんが!?」

ちなつ「失礼なこと言わないでくださいよ!」げしっ

京子「ぐはっ」


あかり「な、なんか入れそうにないよぉ……」




~fin~


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■コメント

 [名無しさん]

綾ちな素晴らしい
続け!

 [名無し]

思い出の場所でデートとかも見てみたい

 [名無しさん]

いいもんみさせてもろた!

 [名無し]

最後の「ゲシッ」はいらんだろ
ちなつは京子の軽口くらいではそんな突っ込みは入れん
■コメント


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