綾乃「私の好きな人」

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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:31:26.04 ID:uON2Klq60

書類整理を終え、生徒会室を後にする。
冬が近づいたせいか日も大分短くなり、辺りはもう薄暗くなっていた。

校舎を出ると、こちらに走ってくる見慣れた人影を見つけた。

「千歳?」

「あ、綾乃ちゃん」

「ごめんな、生徒会の仕事任せてしもて」千歳はそう言いながら私に駆け寄った。
息を切らしているところをみると、急いで走ってきたようだ。

「いいわよ、大した量じゃなかったもの」

「嘘やん、こんな時間やで?」

私は言葉に詰まる。やはり千歳には何でもお見通しだった。


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:32:15.02 ID:uON2Klq60

実を言うと、今日の書類整理は結構きついものがあった。
一年生は学年行事が重なり、生徒会長も西垣先生に呼ばれて席を外していた。

千歳はというと、千鶴さんの体調が悪くなったので様子を見にいかなければならなくなったのだ。
だけど、千歳は時間ぎりぎりまで手伝ってくれた。

「あれから間に合ったの?千鶴さんのところ」

「うん、大丈夫やった。さっき家まで送ってきたんよ」

「風邪?」

「みたいやね。最近めっきり寒うなったしなぁ」

未だ肩で息をする千歳の唇から白い息が漏れる。
そして、千歳がここまで走ってきた理由を想像して思わず声を上げた。


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:32:52.92 ID:uON2Klq60

「ねえ、千歳まさかわざわざここまで来たのって……」

「え?……あぁ、でも間に合わんかったみたい」

「ほんまごめんな、綾乃ちゃん」千歳はそう言って眉を下げた。
そんな千歳を見ていると、ぎゅっと胸が締め付けられた。
千歳はいつも私の傍にいてくれて、そしていつも私のことを心配して助けてくれる。

「いいのよ、そんなこと」

「せやけど……」

「もう……これ以上謝ると罰金バッキンガムよ?」

私が笑顔を見せると、千歳はやっと笑ってくれた。


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:33:28.17 ID:uON2Klq60



薄暗い道を二人で歩きながら、他愛のない話をした。
どんなに疲れていても千歳といると不思議と心が落ち着く。

「それで、またプリント忘れたーって何食わぬ顔で持ってきたのよ」

「歳納さんもやるなぁ」

「ほんとよ。もういい加減にしてほしいわ」

話といっても、そのほとんどは私が話す内容を千歳が聞いてくれるという構図。
これじゃ一方的に私が喋っているのと同じだと気がついた。

一度、千歳に問い掛けたことがある。
『いつも私の話ばかりで退屈でしょう?』と。
だけど千歳は『綾乃ちゃんの話が聞きたいんよ』と言い、再び私の話に耳を傾けるだけだった。

ふと、その時のやり取りを思い出して閉口する。


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:34:02.29 ID:uON2Klq60

「綾乃ちゃん?」

「……うーん、また私ばっかり喋ってるわ」

「え?」

「千歳も何か喋ってよ」

そう言えば、千歳の話をあまり聞いたことがない。
千歳は自分から自分自身の話を持ち掛けてくるタイプじゃないし、私もそういった話題を持ち掛けたことがなかった。
あるとすればエイプリルフールの時だろうか。
あの時は本当にびっくりしたし、何より千歳のことを本当に何も知らない自分に気がついた。

「うーん、そうやなぁ……」

私に急に話題を振られ、千歳はしばし考え込んでいた。
しばらくして「あ!」と思い出したように千歳は口を開く。

「うち、綾乃ちゃんに一つ聞きたいことあったんよ」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:34:39.01 ID:uON2Klq60



まるで小さな子供のように丸い瞳を輝かせ、千歳は私を見つめてきた。
何を聞かれるのかと一瞬身構えたものの、千歳になら何でも話せるかなと小さく頷いた。
すると千歳は微笑んで、私が予想もしなかった名前を口にした。

「歳納さんのことなんやけど……」

「ええっ?!」

「あはは、もうそんな驚かんでええやん」

私と違い、千歳は私の反応を予想していたらしい。

だけど、何を聞きたいんだろう?
歳納京子のことなら、普段からよく千歳には話している。

「聞きたいことがあるの?」

改めてそう聞くと千歳は小さく頷いて言った。

「好きになったきっかけ、って何だったんかなーって思ってな」

きっかけ、か。
そう言われれば話してなかった気がする。
それは、話せなかった理由があったからだ。


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:35:25.46 ID:uON2Klq60

歳納京子に対して特別な感情を抱いているのは事実だ。認めたくはないけれど。
“今”好きなところを挙げろと言われれば、おそらく答えられる。
だけど、いつから好きなのか、いつ好きになったのか……その答えはいくら考えても出てこない。

「なるほどなぁ。それが恋ってもんなんかなぁ」

千歳の呟きに恋という言葉の便利さを感じた。

「そうなのかも」

私は今、たぶん恋をしている。

「千歳は好きな人いないの?」

「うーん……うちはまだ好きとか恋とかようわからんからなぁ」

ふと、千歳に好きな人ができた時のことを考えた。
千歳はどんな表情で毎日を過ごすのだろう。
そして、いつも千歳に話を聞いてもらってばっかりの私は、ちゃんと聞く側に回れるのだろうか。

「……綾乃ちゃん?」

「……え?」

「難しい顔しとるよ」

「せっかくの美人が台無しやで」そう言って千歳は笑った。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:36:04.28 ID:uON2Klq60

時々、どきりとすることがある。
歳納京子といるときに感じるものとは少し違うけれど、千歳はたまにそういう発言をする。
今もそうだった。

「あ、もう着いた」

「えっ、もう?」

「喋っとると時間経つの早いなぁ」

気付かないうちに二人の歩数は増え、いつもの別れ道に差し掛かっていた。

「ほな綾乃ちゃん、また明日」

「うん、また明日ね」

千歳と別れ、家までの道のりを一人歩く。
一人になると色んなことを考えてしまう。

「はぁ……」

最近、ため息が多くなった気がする。
恋煩い、なんて笑ってしまうけれどあながち間違っていない。

「恋、ってなんなのかしら」

私の小さな呟きは周りの静けさに相まってやけに大きく聞こえた。


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:37:13.69 ID:uON2Klq60



翌朝、私は一人通学路を歩いていた。
昨晩、千歳から『明日はちょっと千鶴の様子見て行くから』とメールがあったからだ。

朝もだいぶ冷え込んでいて、肌に当たる風がとても冷たい。
いつもなら隣を歩いているはずの千歳がいないせいか、その冷たさをやけに強く感じた。


しばらく歩いた時、後ろから私を呼ぶ大きな声がした。

「あやのーっ」

振り返らなくても誰なのかはわかった。
歩を休めると、歳納京子が駆け寄ってきた。

「おっはよー」

「おはよう。朝から元気ね」

すると歳納京子はすぐに不思議そうな表情を浮かべた。

「あれ、千歳は?」

「千鶴さんが風邪ひいちゃったみたいで。少し遅れるらしいわ」

そして、私も同じことを思った。


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:37:49.26 ID:uON2Klq60

「船見さんは?」

「あー、結衣も昨日熱出したんだよ。今日は休むって」

「風邪流行ってんのかなー」と歳納京子は呑気げに言った。
そして自然と二人の歩が再び進み始める。

「今日の一時間目何だったっけ?」

「数学よ」

「あ、宿題忘れた」

「はぁ?!」

他愛のない話をしながら、ふと昨日千歳に聞かれたことを思い出した。

好きになったきっかけ、か。


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:38:50.24 ID:uON2Klq60

「いやー、宿題はやったんだけどね」

隣に目を向けた。
いつ見ても綺麗な横顔。
大きな青い瞳に長い睫毛が映えている。

「持ってくるのを忘れちゃってさー」

そして表情がコロコロと変わるのが面白い。
そのどんな表情も私を飽きさせることはない。

「たぶん机の上に置きっぱなし……」

「……」

「綾乃?」

「……えっ?」

「そ、そんなに見つめられると照れるんだけど……」

私ははっと視線を元に戻した。


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:41:24.72 ID:uON2Klq60

「何か付いてた?」

「な、何でもないわ!何でもないわよ」

「そう?」

やっぱりわからない。
いくら考えても好きになった理由がわからない。

「綾乃、顔赤いぞー」

「んなっ……か、関係ないでしょ!」

「またまたー」

こういうやり取りも別に嫌いなわけじゃない。
むしろ嬉しいくらいだ。

それは、好きだから、なのだろうか。

「でもよかった」

「え?」

「なんか綾乃元気なさそうだったし」

歳納京子の言葉に思わず顔を上げる。


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:42:51.84 ID:uON2Klq60

「私が?」

「うん。いつもならもっとツッコミにもキレがあるのに」

「私はいつからあなたのツッコミ役になったのよ!?」

「そうそう、それそれ!」

そう言って笑う歳納京子を見ていると私も何だか笑えてきた。
そして何も考えていないようで、私のことを気に掛けてくれていたことに気付く。

きっかけって案外、こういうところにあったりするのだろうか。

そんなことを考えていると、歳納京子がおもむろに口を開いた。

「千歳、早く来るといいね」

何の脈絡もなく発された言葉に一瞬どういう意味だろうと首を傾げた。
けれど、そう思っているのは事実だったので「そうね」と頷いた。


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:44:51.12 ID:uON2Klq60



ホームルームが始まる数分前、千歳は学校にやってきた。

「あ、綾乃ちゃん。歳納さん」

「おはよう、千歳」

千歳は教室に入るや否や「今朝はごめんなぁ」と言いながら私たちのほうに歩いてきた。

「それより、千鶴さんは?」

「昨日よりだいぶ熱も下がったんやけど、今日は様子見で休ませたんよ」

「今日は千鶴に会えないのかー。残念だなぁ」

そう言う歳納京子を見ながら、千歳は首を傾げた。

「あれ?船見さんは?」

「結衣も千鶴と一緒で風邪ひいたんだよー」

「それは大変やなぁ」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:45:39.71 ID:uON2Klq60

しばらくすると担任の先生が来たので私たちは席に戻った。
その途中、千歳が小さな声で私に言った。

「今日はいつもよりたくさん歳納さんと話せるんやない?」

いたずらっ子のように目を輝かせる千歳の言葉に私は頬が染まった。

「な、何言ってるのよ」

「はぁ……今日一日うちの体持つんやろか……」

眼鏡を外した千歳には私の抵抗など聞こえていないようだった。
千歳には恋よりも妄想のほうが似合うかもしれない。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:47:06.57 ID:uON2Klq60



昼休み、生徒会室に向かおうとした私と千歳に歳納京子が声をかけてきた。

「綾乃~千歳~暇だからついてく~」

「ええよ~」

「もう、私たちは暇じゃないわよ」

文句を言いながらも突き放せないあたり、私自身嫌なわけじゃないのだろう。

「あ、そうそう千歳」

「どうしたん?」

「今朝、綾乃が寂しがってたぞ」

「千歳がいなかったから」そう言って歳納京子は悪戯に笑った。
千歳はというと「ほんま?嬉しいわ~」と喜んでいる。
千歳のこういう素直なところ、憎めないし、羨ましいと思う。

「でも、うちも前に綾乃ちゃんが休んでたとき寂しかったで」

「あー確かに。千歳、元気なかったもんな」

「あの時、皆でお見舞い来てくれたのよね。ドタバタだったけど」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:49:07.75 ID:uON2Klq60

言いながら、ふと今日欠席している船見さんのことを思った。
以前、お見舞いに来てくれたときに船見さんがお粥を作ってくれたことを思い出す。

「ねえ、放課後なんだけど船見さんのお見舞いどうかしら?」

「おっ、いいねえ。結衣、一人暮らしだし喜ぶよ」

「せやな。じゃあ三人で行こか」

歳納京子の表情は普段からあまり読めない。
けれど、少しだけ晴れやかになったような気がした。
船見さんとはいつも一緒にいるし、当然だろう。

「あ!そのあと千鶴のお見舞いも行く!」

「いいわね。行きましょう」

「ほんま?千鶴も喜ぶわ~」

それは、私と千歳のような関係だからなのだろうか。
頭ではそうわかっているつもりでも、時々少しだけ斜に構えて見てしまうことがある。

そういう自分が嫌だ。
船見さんが良い人だけに、穿った見方はしたくない。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:51:17.58 ID:uON2Klq60

「歳納京子も船見さんがいないとやっぱり寂しい?」

私の言葉に歳納京子は「うーん」としばらく唸った。

「小さい頃の私なら思ったかもしれないけど、今はないかなあ」

「そうなの?」

「うん。別に一生会えないってわけじゃないし、一日くらいだもん」

確かに、歳納京子が「寂しい」と言いながら泣いている姿なんて想像できない。
だけど、私は歳納京子の言葉に相当の重みを感じた。
そして二人が過ごしてきた日々の長さを改めて知った。

「そ・れ・に」

「え?」

「綾乃と千歳がいるし!」

後ろから腕を回され、私と千歳の体重が後ろに持って行かれる。

「もう、歳納京子!」

「あはは、歳納さんには敵わんわ」

廊下に三人の笑い声が響き渡った。
さっきまでの私の不埒な気分を歳納京子は一瞬でどこかに消し去った。


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:53:14.84 ID:uON2Klq60



放課後、船見さんのお家にお邪魔した。
初めて入る部屋に緊張している私とは対照的に、歳納京子は至って自然に足を踏み入れた。

船見さんは布団に横になっていた。
熱のせいかやはり頬が少し赤い。

「結衣ー!お見舞いに来たぞー!」

「まったく……本当のお見舞いに来てくれたのは綾乃と千歳だろ」

「なんだとー」

「ありがとう二人とも」船見さんはそう言いながら、体を起こして少し咳き込んだ。
まだ本調子じゃないみたい。

「これ、よかったら」

来る途中に買ったコンビニの袋を差し出す。
中身はプリンとアイスとあんみつ。

「ええ、悪いよ」

「いいのよ。皆からの差し入れ」

船見さんは「じゃあ頂こうかな」と体を起こした。


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:54:53.52 ID:uON2Klq60

「ああ、無理せんでええよ」

「大丈夫だよ。これでも少し熱下がってるから」

「でも無理は罰金バッキンガムよ」

「ブフッ……ゲホゲホ……」

「ちょっと、船見さん?!」

「……罰金、バッキンガム……ふふふ」

歳納京子はというと、まるで自分の家みたいにくつろいでいた。
本当に自由な子だと思う。

しばらく話をした後、あまり長居するのもどうかと思い皆で腰を上げた。

「お大事にね」

「温かくして寝るんよ~」

「ありがとう。明日は行けるようにするよ」

「うんうん、二人ともありがとう♪」

「……お前も帰れ」

えー!と不満気に声を上げる歳納京子を「風邪うつるだろ」と船見さんは諭していた。
二人のいつものやり取り。
その中に、船見さんの歳納京子に対する優しさを見た。


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:56:09.69 ID:uON2Klq60



その後、千歳のお家にお邪魔して千鶴さんの様子を見た。

「千鶴~♪」

「何でお前まで来たんだよっ!」

歳納京子とのやり取りを見る限り、千鶴さんもだいぶ元気になっているようだった。

「二人ともありがとうな。気い付けて帰るんよ」

千歳に見送られ、私は歳納京子と家を出た。

「それにしても風邪っぴき多いなー」

「そうね。でも船見さんも千鶴さんも明日は来れそうで良かったわ」

だいぶ日も暮れ、肌に当たる風が冷たい。
思わず身震いすると「大丈夫?」と覗き込まれた。
条件反射で頬が染まる。


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 19:57:57.27 ID:uON2Klq60

「綾乃まで風邪ひかないでよ~」

「だ、大丈夫よ!」

「でも顔赤いよ?」

歳納京子の手のひらが頬に触れた。
思っていたよりもその手は冷たかった。

「……冷たっ」

「え、本当?綾乃は?」

「ええっ……」

急に手を取られ驚く私をよそに歳納京子は「綾乃のほうがあったかいね」と笑った。
そして、そのまま何事もなく歩き出す。

「ちょっ……、歳納京子……」

「いいじゃん。帰るまで、ね?」

そんな風に言われると、断るにも断れない。
いや、元々断る気なんてない。
だけど、心臓はずっと忙しなく動いている。


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:00:03.41 ID:uON2Klq60

すると、不意に歳納京子が口を開いた。

「綾乃と千歳って幼なじみなの?」

「私と結衣みたいに」そう続けた歳納京子は私を見つめてきた。
直視できなくて、少し目を逸らしつつ首を横にふる。

「中学校に入ってからよ。千歳が声かけてくれて……それから仲良くなったの」

「なるほど~そうだったんだ」

「でも、どうして?」

「だって綾乃が『千歳』って呼び捨てできるくらいだから、付き合い長いのかなーって思ってさ」

確かに、私が下の名前で呼んでいるのは千歳くらいだ。


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:01:56.93 ID:uON2Klq60

「私ももっと仲良くなりたいのにな……」

その声のトーンに少し違和感を覚えた。
隣を見ると、歳納京子はいつになく真面目な表情で私を見ている。

「と、歳納京子……」

仲が良くない、というわけでは決してない。
だけど、千歳と歳納京子は私の中で自然と線引きされている。
だって私は歳納京子のことが――。

「ねえ綾乃、少し時間ある?」

「え……ええ」

「ちょっと話したいことがあるんだ」

「最近おかしくてさ、私」そう言って歳納京子は笑った。
それは何かを隠しているような、無理をしているような笑顔だった。


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:03:32.26 ID:uON2Klq60



連れていかれたのは歳納京子の家だった。
部屋に通され初めて見る空間にうろたえる暇もなく、私の意識は歳納京子に向けられていた。
ここまで追い詰められた表情をしているのは見たことがない。

「ちょっと……どうしたのよ。あなたらしくないわ」

「あ、ごめん……」

「あの……話って?」

すると歳納京子はバツの悪そうな表情を浮かべた。

「あ、あのさ……違ってたらすごく恥ずかしいんだけど……綾乃ってその……私のこと好き?」

一瞬、時が止まったような気がした。

「ごめん……こんなこと聞く機会、今日しかないと思って……」

唐突すぎる質問。それでいて何も間違っていない内容に頭が真っ白になる。
歳納京子に問われたその「好き」は勿論“恋”におけるものであることに間違いなかった。
否定してしまおうか、肯定してしまおうか――。
そのどちらもすぐに選べなかった私はただ俯く他なかった。


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:05:02.98 ID:uON2Klq60

「あ、綾乃……?」

答えを促すように名前を呼ばれ、おそるおそる顔を上げる。
目の前には何故か不安げで泣きそうな表情を浮かべた歳納京子がいた。
その時、いつかの千歳に言われた言葉を思い出す。

『もう少し素直になってみたらええんとちゃう?』

私は覚悟を決めた。

「そうよ」

たった三文字の答え。
私はもう数秒前の関係には戻れないと悟った。
覚悟を決めたはずなのに、その代償が大きすぎて視界がぼやけてくる。

しばらくして、歳納京子の声が聞こえた。

「私、綾乃の気持ちに気づいてから変なんだ」

「帰り道もそうだったでしょ?」その言葉に私は小さく頷いた。
あの時は確か、私と千歳の話をしていた。

「綾乃と千歳見てると……もやもやする。だけど、原因がわかんないの。結衣にも相談できなくて……でもその理由もわかんなくて……」

疑惑が段々と確信に変わっていく。

「私……綾乃のこと好き、なのかな」

戸惑うような瞳に見つめられたにも関わらず、私は頷くことができなかった。


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:07:04.02 ID:uON2Klq60

私には確信めいた気持ちがある。
けれど今、歳納京子の話を聞く限りそこまで決め付けられなかった。
好きは好きでも、私と歳納京子の間にはほんの少しズレがあると思った。

「歳納京子」

「なに?」

「それはたぶん……友達として、だと思うわ」

正直な気持ちを言うと、歳納京子は納得できないとばかりに声を荒げた。

「私も綾乃と同じだよ!」

その言葉に私も感情が昂ぶった。

「じゃあ、歳納京子はどうしたいの?!」

「どうって……もっと仲良くなりたいよ!それに綾乃のこともっと知りたい!」

「……ほら、やっぱり……やっぱり違うわよ」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:08:48.24 ID:uON2Klq60

悔しさに声が震えた。

「私は……あなたに恋してるの」

恋、だなんて言うことになるとは思ってもみなかった。
昨日まで恋について答えを出せなかった癖に。
だけど今、歳納京子を目の前にして言えるのは本当に『好き』だということだ。

「私、恋とか言われてもわかんない」

「……」

「だけど、綾乃に対する好きは他の皆とは違う!」

そう言うと歳納京子は私の肩を掴んだ。

「……キス、する」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:10:10.99 ID:uON2Klq60

驚いて顔を上げると青い瞳が揺らいでいた。

「歳納、京子……」

私は口元に手を当てたまま、歳納京子をただ見つめることしかできなかった。

「そしたら……、わかるかもしれないじゃん」

「確かめさせてよ」と言う歳納京子の表情に私は何も言えなくなった。

キスすれば、何かわかるのだろうか。
歳納京子も、私も――。

「……わかったわ」

私は小さく頷いて、その提案を了承した。


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:12:02.92 ID:uON2Klq60

すると、今からすることを理解した私の心臓が忙しなく動きはじめた。
歳納京子の目を見られなくなって俯くと、そっと手を取られた。

「歳納京子……?」

「……大丈夫、私も一緒」

そのまま胸元に導かれ、触れた部分からとくとくと鼓動が伝わってきた。
わざわざ教えてくれたことが嬉しかったし、少し安心できた。

「じ、じゃあいくよ」

「え、ええ……」

「目閉じて……」

言われた通り目を閉じると、視界が真っ暗になった。
それからすぐに歳納京子が近づいてくる気配を感じて、唇に柔らかなものが触れた。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:14:28.99 ID:uON2Klq60

「……」

唇が離れる。
目を開けると、私たちはお互いの吐息がぶつかる距離にいた。

「綾乃……」

名前を呼ばれて、抱き締められる。
歳納京子の身体はとても温かかった。

「やっぱり、好きだよ」

その言葉に瞼の奥が熱くなった。
緊張の糸が切れ、全身の力が抜けた私の目尻から涙が零れる。
幸せ、ってこういうことを言うのだろうか。

「私も……」

それからしばらく私たちは抱き締め合った。
ぼんやりとする頭の中で明日からのことを考える。

少なくとも、この一日で私と歳納京子の関係は変わった。


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:16:03.91 ID:uON2Klq60



翌朝、待ち合わせ場所に行くと千歳が待っていた。

「おはよう、綾乃ちゃん」

「おはよう。ごめん、待った?」

「ううん、ついさっき着いたんよ」

昨日、歳納京子と話をした。
歳納京子は船見さんに、私は千歳に昨日あったことを伝える、と。
二人とも親友に隠し事はしたくなかった。

「あ、昨日あれから歳納さんと一緒に帰ったん?」

瞳を輝かせながら千歳は私にそう尋ねてきた。
それは同時に私の口を開くきっかけをくれた。

「あの……、千歳に聞いてほしいことがあるの」

「どうしたん?何かあったん?」

千歳は心配そうな顔をして私を見た。
私の表情がどれほど緊張しているのかよくわかる。


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:18:04.51 ID:uON2Klq60

「と、歳納京子のことなんだけど……」

「うん……」

「……昨日、キスしたの」

千歳を見ると、一瞬はっとしたような表情を浮かべた。
そして、千歳の鼻からつうっと赤い液体が流れる。

「ちょ、千歳」

「だ、大丈夫、大丈夫やから続けて!」

「え、あ……うん」

予想はしていたことだったけれど、思わず笑みが零れた。



それから私は事の経緯を全て千歳に話した。
千歳は鼻にティッシュを詰めたまま、真剣に私の話を聞いてくれた。
だけど、千歳の瞳が徐々に潤んでいく。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:19:04.85 ID:uON2Klq60

「ど、どうしたの」

「いや、ほんま…、ほんまによかった……」

「え……?」

「だってうち、ずっと話聞いとったから……綾乃ちゃんの気持ち、一番よう知ってるから余計に……」

「嬉しいんよ」そう言って千歳は笑った。
そんな千歳を見ていると、私まで視界が滲んできた。

「ありがとう、千歳……」

ここまで自分のことのように喜んでくれる友人がいるだろうか。
私は千歳が友達でよかった、と心からそう思った。


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:21:14.02 ID:uON2Klq60



学校に近づくにつれ、目に入る生徒の数も多くなる。
その中に歳納京子と船見さんの姿を見つけた。
二人もすぐに私と千歳に気づいたらしく、歩を止めて待っていてくれた。

「おはよう」

「おはよー」

挨拶を交わすや否や話題はすぐに例のものになる。

「綾乃、京子から聞いたよ。びっくりした」

「歳納さん、うちも全部聞いたで~」

歳納京子を見ると、満足そうに微笑んで私の肩を抱いた。

「というわけで、晴れて私と綾乃はカップルだ」

「ちょ、ちょっと……」

「……あ、朝からはあかんって……」

「千歳?!」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:24:47.10 ID:uON2Klq60

鼻血を出してふらつく千歳を支えながら、船見さんは私を見て「おめでとう」と口を動かして笑った。

「ありがとう、船見さん」

たぶん、船見さんは私の気持ちに気づいていたんだと思う。



それから校舎までの道のりを私は船見さんと歩いた。
千歳は歳納京子に改めて事の経緯を聞いているようだった。
船見さんも私に歳納京子のことを尋ねた。

「でも、京子のどこがよかったの?」

「そうね……色々考えたんだけど、やっぱり優しいところかしら」

「ああ、確かに京子は考えてないようで考えてくれてるときがあるからね」

歳納京子を見ながら船見さんは言った。

「なんか変な気持ち」

「え?」

「幼馴染みだから、かな。何か不思議な感じだよ」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:26:06.08 ID:uON2Klq60

船見さんはそう言って笑った。

「京子のこと、よろしくね」

「船見さん……」

「あいつ自由人だしたまにどっと疲れるかもしれないけど、綾乃なら安心して任せられる。それに、結構お似合いだよ?」

それはとても嬉しい言葉だった。
小さく頷くと、船見さんは千歳を見ながら眉を下げた。

「それより……心配なのは千歳だよ」

「それは同意だわ……」

その日は帰宅するまで千歳の鼻血が尽きることはなかった。
どうにかして改善策を考えないと、いよいよ千歳の身体が心配だ。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:27:13.67 ID:uON2Klq60



歳納京子と付き合い始めてからも私の生活に何ら変化はなかった。

朝は千歳と待ち合わせて登校。
学校では授業を受けた後、生徒会室に顔を出す。
生徒会の仕事を終えた後は千歳と帰宅。

歳納京子とは教室で顔を合わすし、お互いに以前からごらく部と生徒会を行き来していたため会う時間を増やすこともなかった。
何かあればメールや電話を使ってやり取りをしていたくらいだ。



そんなある日、歳納京子と出掛けることになった。
所謂、デートだ。
恋人らしいことをまともにしていなかっただけに、気持ちが弾んだ。

待ち合わせ場所に着くと、既に歳納京子がいた。
予想外だった。

「あ、綾乃~」

「ごめんなさい。待った?」

「ううん、だってほら」

歳納京子の腕時計を見る。
待ち合わせ時間よりまだ5分も早い。


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:28:10.32 ID:uON2Klq60

「あなたに先を越されるなんて意外だったわ」

「だって楽しみだったんだも~ん」

歳納京子は照れくさそうに笑った。

「じゃあ行きますか」

「そうね」

「あ!ねぇねぇ綾乃……」

「手つないでもいい?」そう聞かれ、私は小さく頷いた。
触れた手は少し冷たくて、「さっき着いた」という歳納京子の言葉を疑った。

「今日はいっぱい楽しもうな~」

だけど隣の笑顔を見ていると、問いただすなんて野暮だと思った。


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:30:14.33 ID:uON2Klq60



それから私はミラクるんの映画を見たり、ゲームセンターに連れて行かれたりと歳納京子のプランを満喫させられた。
まあ、楽しくなかったわけじゃないけれど。

「お腹空かない?」

「そうね。そろそろ何か食べましょう」

時計を見るともうお昼をだいぶ過ぎていた。
私たちは近くのファミリーレストランに入り、適当なものを頼むことにした。

「いやぁ、久し振りに充実した休日~」

歳納京子はどかっと椅子に腰掛けた。

「綾乃はいつも休みの日何してるの?」

休日、か。
私もここまで濃い1日を過ごすのは初めてだ。
いつもは授業の復習をしたり、参考書を読んだりと適当に時間を潰していた。
そして、たまに千歳と一緒に宿題をする。

「……よく考えてみれば遊んだことってあまりないかも」

「ええっ!?本当に?」

「ええ……」

「私なんか遊んでばっかだよ」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:31:44.28 ID:uON2Klq60

ゲームしたり、出掛けたり――。
楽しげに話す歳納京子を見て、少しだけその存在を遠くに感じた。
真逆の生活を送ってきたのだと改めて思う。

それは学内活動にしても言えることだ。
生徒会とごらく部なんてやっていることが正反対だし。

――歳納京子は私といて今までと同じだけの『楽しい』を感じられるのだろうか。
途端に不安になる。

「ねえ、綾乃」

「……何?」

「疲れてない?」

「え……?」

「やっぱ午前中に詰め込みすぎたかな……」

私の表情を伺うように歳納京子はそう尋ねてきた。
私がどれだけ浮かない顔をしていたのかわかる。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:32:50.11 ID:uON2Klq60

「違うの、そうじゃなくて……」

「うん」

「と……歳納京子は私といて、ごらく部の皆といる時みたいに楽しいのかなって……」

歳納京子は首を傾げた。

「うーん……皆といる時とは少し違うかな」

「そう……」

「だって綾乃はその……こ、恋人だし……楽しいっていうかドキドキする」

真剣な表情の歳納京子を見た私の頬が染まる。
すかさず歳納京子にそれを指摘された。

「あ、綾乃照れてる~」

「だって、そ、そんなこと言われたら恥ずかしいじゃない……!」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:34:21.90 ID:uON2Klq60

恋人。
私も歳納京子も互いにそう認識しているのは確かだ。
そう思うと、こうやって一緒にいられる時間は本当に貴重なのかもしれない。

昼食を済ませ、お店を出ると歳納京子は私に聞いた。

「綾乃はどこか行きたいところある?」

「あ、そろそろテスト近いから参考書見たいの。本屋さんに寄ってもいい?」

「いいね!私も見てみる~」

せっかくの二人きりの休日。
だからこそ、大切にしたい。

「……綾乃?」

「……いい?」

「……えへへ、もっちろん!」

初めて自分から繋いだ手。
私が緊張していることを知ってか知らずか、歳納京子は優しく握り返してくれた。


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:36:10.68 ID:uON2Klq60



立ち寄った本屋では歳納京子の意外な一面を見た。

「どの教科の参考書探してるの?」

「数学と英語なんだけど……」

「数学ならこれがいいよ。重要なところピンポイントでわかるし。あと英語はね……」

いつも怠けてばっかりだと思っていた。
けれど、そんなことはなくて。

「……本当ね。分かりやすいわ」

「でしょ~?」

ずっと抱いていた学年一位の謎。
そこには隠れた努力があったことを知った。

「あ!ちょっとミラクるんの漫画見てくるね~」

そう言って漫画コーナーに移動する歳納京子を見ながら苦笑が漏れた。
確かにこっちの歳納京子のほうが見慣れているけど、時々見せられる一面にはやっぱりドキドキする。
これも付き合わなければ、知ることはなかったのだろうか。


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:37:05.01 ID:uON2Klq60

それからしばらく歳納京子から奨められた参考書を見ていると、注意力が散漫になっていたのか隣にいた人とぶつかってしまった。

「すみません……」

「いやいやこちらこそ……」

慌てて謝ったものの、否に聞き慣れた声。
相手もそう思ったのか互いに顔を見合わせて驚いた。

「綾乃ちゃんやん!」

「千歳?!」

聞くと千歳もテストが近いからという理由で参考書を見にきたらしい。

「あはは。考えてること一緒ね」

「ほんまやなぁ」

「それなら時間合わせて一緒に……」

「来ればよかった」そう言おうとして思わず口をつぐむ。

今日は歳納京子とここに来ている。
今日のデートを選んだのは誰でもなく私なのに。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:37:47.62 ID:uON2Klq60

「綾乃ちゃん?」

「あ、ああ……千歳はどの参考書見てるの?」

「うち社会苦手でな……」

それに、よく考えたら今日のことだって千歳には言っていなかった。
前はあんなに歳納京子のこと話してたのに。

『歳納京子と来たの』

この一言が言えないのは、どうしてなんだろう。


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:38:42.17 ID:uON2Klq60

結局、私と千歳は参考書を買ってお店の外で別れた。

「じゃあまた明日な~」

「うん、また明日ね」

お店に戻ると歳納京子が私を見つけて駆け寄ってきた。

「あ、綾乃~」

何故か泣きそうな表情を浮かべている。

「ど、どうしたのよ」

「だって、だって先に帰っちゃったかと思ったんだもん。私がミラクるんばっか見てたから……」

「お……置いて帰るわけないじゃない。ほら、さっき支払い済ませてきたから」

「うん……ごめんね」

歳納京子にも言えなかった。

『千歳と会ったの』

たったそれだけなのに。

その理由は、やっぱりわからなかった。


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:40:03.32 ID:uON2Klq60



帰り道、歳納京子は私の家に行きたいと言った。
特に断る理由もなかったので二人で家に向かった。

部屋に入るや否や、私は歳納京子に抱き締められた。

「え、ちょっと……歳納京子……?」

歳納京子は何も言わなかった。
ただ、私の肩に顔を埋めたまま。

どうすればいいのか分からずに立ち尽くしていると、小さな声が聞こえた。

「綾乃……、綾乃はほんとに私のこと好きなの……?」

一瞬、どういう意味だろうと考える。
私は間違いなく、歳納京子が好きだ。

「す……好きよ、当たり前じゃない……」

「……じゃあ何で」

「え……?」

「何で千歳とはあんなに楽しそうに話すの?!」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:41:33.32 ID:uON2Klq60

驚きと同時に記憶が巻き戻される。
あの時のやりとりを歳納京子は見ていたのだ。

「声、掛けてくれれば……」

違う。そうじゃない。
私が言うべきだったのだ。
千歳と会った――たったそれだけのことを。

「私……我慢してたんだよ」

「え……?」

「綾乃、生徒会忙しそうだし、一緒に帰ろって言えなかった」

「歳納京子……」

「それに……綾乃はいつも千歳と一緒だもん……」

思い返せば、何も間違っていない。
だけど――私と千歳は友達だ。
それに千歳は私たちの仲を見守ってくれている。

だからなのか、あまりいい気はしなかった。
たとえそれが歳納京子からの言葉であっても。


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:42:52.32 ID:uON2Klq60

「千歳とは友達なのよ?」

「……本当にそうなの」

「どういう意味?」

「本当にそうなら、会ったことどうして私に隠したの?」

持っていた参考書が滑り落ちて音を立てた。
私自身、胸に引っ掛かっていたことを歳納京子には見抜かれていた。
――だけど、そんなの、私にだってわからない。

「今日、やっと恋人らしいことできるって楽しみにしてたのに……」

歳納京子の肩は震えていた。
これほどまでに歳納京子を傷つけてしまった私自身に歯痒さを覚えて、私まで視界が滲む。

きっと今、歳納京子が感じているのは以前、私が船見さんに対して抱いてたものと同じだ。

私はきつく歳納京子を抱き締めた。


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:43:51.73 ID:uON2Klq60

「ごめんなさい……私、もっと色んなこと考えるべきだったわ」

「綾乃……」

「だけど今日は私、本当に楽しかった。これだけは信じて欲しいの」

青い瞳が私に向けられる。
歳納京子は小さく頷いてくれた。
私より少し小さな身体を抱き締めながら、私は千歳のことを考えていた。

千歳のことは、好きだ。
だけど、その好きって一体何だろう。
歳納京子を不安にさせているとしたら、私が千歳に向ける好きは一体――。

私が歳納京子に抱く気持ちとの明確な差が知りたかった。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:45:02.46 ID:uON2Klq60



翌日、生徒会室で書類整理をしながら色んなことを考えていた。
歳納京子とは昨日の一件から何となく気まずくて今日はあまり話をしていない。

ふと、目の前で黙々と作業する千歳に目を向ける。

「……」

歳納京子から見た私は、千歳のことが好きなのだろうか。
だけど、その好きはやっぱり恋とは違う気がする。

「はぁ……」

思わず、溜め息が漏れた。
恋をするって、思っていたよりも難しい。

「綾乃ちゃん?」

「どうしたん?」と千歳に聞かれ、私は事の経緯を話そうとして止めた。
歳納京子と千歳の関係に亀裂が入ってしまうのは避けたい。

「いや……ちょっと考え事……」

「ほんま?何かあったら言ってな」

「うん、ありがと」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:47:34.99 ID:uON2Klq60

千歳は優しいし、何かあるとすぐに私のことを気遣ってくれる。
純粋に嬉しいし、私もそういう千歳のことは好きだ。
だけど、それ以上に何かあるのだろうか。

すると、しばらくして千歳が口を開いた。

「なあ、綾乃ちゃん。うち少し気になってたんやけど……」

「どうしたの?」

「歳納さんと一緒に帰ったりせんでええの?」

心を見透かされたような問い掛けに私は思わず言葉を失くした。
やっぱり、千歳には何を隠しても無駄だ。

「綾乃ちゃん、うちに気い遣わんでええんよ?」

気を遣っていた、というわけではない。
私は自然と千歳と一緒に過ごすことを選んでいた。

私にとって、千歳も歳納京子も同じくらい大切な存在なのだ。
だからこそ、そこに優劣なんて付けたくない。


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:48:36.82 ID:uON2Klq60

だけど今、歳納京子は恋人だ。
こういう時は、恋人を優先させなければいけないのだろうか。

「ますますわからないわ……」

頭を抱えて項垂れると千歳は手を休めて私を見つめた。

「綾乃ちゃん、今日の放課後時間ある?」

「え?ええ……」

「うちでよかったら話聞くで?」

千歳の優しい笑顔に私は思わず頷いていた。
私はまた、千歳を頼ってしまった。


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:50:04.75 ID:uON2Klq60



久々に尋ねた千歳の部屋。
鞄を下ろしていると、千歳が温かいお茶を持ってきてくれた。

「寒かったからな。温まってや」

千歳の優しい笑顔に私も自然と笑みが零れる。

「ありがとう」

私も千歳の前では素直になれる。

こうして考えると、私はやっぱり千歳のほうが――。

その考えを振り切るように私はきつく目を閉じて湯気の立つお茶を飲んだ。
温かい液体が喉の奥を流れていった。


それからしばらく何も話さないでいても、千歳から何か尋ねてくることはなかった。
おそらく千歳は私が口を開くのを待っていてくれている。
いつも、私のタイミングで話をさせてくれる。

「ねえ、千歳……」

私の言葉に千歳は顔を上げた。
眼鏡の奥の大きな瞳と目が合う。

「私……千歳のこと好きなのかしら」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:51:42.12 ID:uON2Klq60

千歳は驚いたように目を丸くしていた。
けれどすぐにいつもの穏やかな表情に戻る。

「それは違うで、綾乃ちゃん」

「どうして?」

「綾乃ちゃんは歳納さんが好きや」

「見とったらわかる」そう言って千歳は私を諭した。

「だけど昨日……私、言われたのよ。千歳といる時はあんなに楽しそうに笑ってるのに、って」

「歳納さんに?」

「そう。それに……私は千歳との時間も大切にしたいと思ってるの」

そこまでいうのが精一杯だった。
これ以上、否定の言葉を聞けば千歳を傷つけてしまうような気がした。


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:52:14.85 ID:uON2Klq60

沈黙に包まれる。
しばらくして、千歳が口を開いた。

「じゃあ、綾乃ちゃんに聞くわ……」

いつになく真剣な千歳の声に思わず顔を上げた。
千歳は真っ直ぐに私を見据えていた。

「うちとキス、できる?」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:54:06.08 ID:uON2Klq60



千歳の言葉に私は耳を疑った。

「ち……千歳?」

表情を変えない千歳を見て、その言葉が改めて現実だと理解した。

「綾乃ちゃん……」

「何、千歳……」

「……何も言わんのやったらうちからするで」

千歳は眼鏡を外して机の上に置いた。
そして私の両肩に千歳の手のひらが触れる。

「ち、千歳……ダメよ……」

「でも綾乃ちゃん、うちのこと好きかもしれんのやろ?」

「それは……」

「やったら……確かめるしかないで」

千歳の身体が近づき、私は思わず目を閉じた。
確かめる――その言葉に私は歳納京子とキスをしたときのことを思い出す。


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 20:56:21.67 ID:uON2Klq60

あの時の私は、こんな感じじゃなかった。
こんな風に抵抗したり、相手を拒んだりしなかった。
ただ、すごくドキドキしていただけ。


唇が触れる寸前、私は千歳の身体を押し戻した。

「千歳……ごめんなさい……やっぱり私……」


――私は、歳納京子が好きだ。


気が付くと涙が頬を伝っていた。
色んな感情がごちゃ混ぜになって泣かずにはいられなかった。

「綾乃ちゃん」

千歳の優しい声が聞こえた。
千歳は私の背中を撫でながら言った。


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:02:44.63 ID:uON2Klq60

「それが綾乃ちゃんのほんまの気持ちやで」

「千歳……」

「うち、綾乃ちゃんのことは好きや。でも……この好きはやっぱり綾乃ちゃんの好きと一緒」

千歳の言葉を聞きながら、私は小さく頷いた。

「それに……歳納さんがうちのこと言うたってことは、それだけ綾乃ちゃんが愛されとるってことやん」

「……、……」

「綾乃ちゃんもその気持ちに応えたげな、な?」

顔を上げると千歳は穏やかな表情で私を見下ろしていた。
私は涙を拭って頷いた。

「ほんと、千歳には頭が上がらないわ……」

千歳と出会ったときから、今日までのことを思い出す。
私はどれだけ千歳を頼り、どれだけ助けてもらったのだろう。

それに今日のことだって、千歳には相当の勇気がいったはずだ。
こんなことまでして支えてくれる人なんて、他にいるのだろうか。

私はこれから千歳に返していかなきゃいけないものがたくさんある。
だからこそ、ここでその関係を終わらせてしまいたくはない。


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:03:29.96 ID:uON2Klq60

「千歳……」

「なに?綾乃ちゃん」

「これからも……その……友達でいてくれる?」

千歳は外していた眼鏡を掛けながら「当たり前やん!」と笑った。
その笑顔に私は「ありがとう」と応えた。

私が抱く想いはようやく、確かなものになった。


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:05:16.00 ID:uON2Klq60



その日の夜、歳納京子から一通のメールが届いた。
『今から会いたい』という内容だったので、どこで会おうかと思案していると携帯電話が鳴った。
その相手は歳納京子だった。

『も……もしもし?』

『あ、綾乃、ごめん。こんな時間に……』

『いいけど……どこで待ち合わせたらいい?』

『それがさ……』

歳納京子の言葉に慌てて窓を開ける。
そこには寒そうに身体を縮こまらせる歳納京子の姿があった。


私はすぐに歳納京子を部屋に入れた。
この寒い中、外で待つなんて自殺行為だ。

「来るなら先に連絡くらいしなさいよ……」

「ごめん。もういてもたってもいられなくて……」

二人分のホットミルクを淹れながら、私はこの間のことを考えていた。


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:06:35.26 ID:uON2Klq60

「あの……歳納京子……」「あのさ、綾乃……」

思わず顔を見合わせる。
たぶん、二人とも同じことを考えていたのだろう。

「いいわ、先に言って」

「あ、うん……」

歳納京子は一呼吸置いて、口を開いた。

「この間のこと……ごめんね」

「え……」

「あの後、よく考えたんだ。そしたら私、自分のことばっかりで……綾乃にも、千歳にも酷いこと言った」

「歳納京子……」

「結衣にも相談したんだ。そしたら『何で綾乃のこと信じてないんだ』って言われちゃって……」

互いにその状況はそっくりだった。
私は黙って歳納京子の話に耳を傾ける。

「今日もずっと綾乃と話さなきゃって思ってたんだけど、結局こんな時間になっちゃった」

「うん……」

「だけど……ちゃんと謝りたくて……」


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:09:04.21 ID:uON2Klq60

その声は震えていた。
私も込み上げてくるものをぐっと我慢してから言った。

「正直、あれから千歳のこと好きなんじゃないかって自分でも疑ってたの」

「綾乃……」

「私も千歳に相談したわ。それで……キス、しようともした」

「えっ……」

「……だけど、できなかった。私は……あなたのことが好きだから」

震える声を抑えながら私は話を続ける。

「私も、ちゃんと伝えたかったの。好き、だって」

「綾乃……っ」

「ごめんなさい……不安にさせて」

そこまで言うと、歳納京子は泣きながら私に抱き着いてきた。
その身体はとても冷え切っていて、いつから家の前で待っていたのかと不安に思った。


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:16:19.08 ID:uON2Klq60

「……私、綾乃とずっと一緒にいたい」

「うん……私も」

私は初めて歳納京子の前で素直になれた気がした。
涙に濡れた青い瞳にそっと微笑み返し、私は唇を寄せた。

「……、綾乃?」

「……好きよ、京子」

初めて自分からしたキス。そして、初めて呼んだ名前。
どちらもとても不思議な感じがした。
そして、より一層距離が縮まった気がした。

「……えへへ、何か恥ずかしいね」

「でも、恋人って感じ」そう言って歳納京子は私の大好きな笑顔を見せてくれた。


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:19:54.35 ID:uON2Klq60



それからしばらく、私と歳納京子は一緒にいる時間が増えた。
千歳と船見さんが気を効かせてくれたおかげというのもある。

「やっぱ、私たちは結衣と千歳がいてこそだな~」

「そうね」

今回の件だって、二人がいたからこそ乗り越えられた。
お互いに理解のある友人を持ったものだと改めて思う。

「だけど、いつまでも甘えてるわけにはいかないわ」

「わかってるよ~。友達との時間も大事、でしょ?」

時間の使い方は本当に難しい。
だけど、私たちには大切にしたい友人がいる。

「じゃあ、これからちゃんと考えなきゃね」

そうして私たちの問題はようやく解決した。
色々あったけれど、見えなかったものが見えたのも事実だった。


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:23:16.92 ID:uON2Klq60



そんなある日、久し振りに千歳と一緒に下校することになった。
生徒会の仕事を終え、二人で生徒会室を施錠する。

「最近どうなん?歳納さんとは」

「充実してるわ。千歳と船見さんのおかげよ」

校舎を出ると、辺りは既に薄暗くなっていた。
私はいつかの千歳と一緒に帰宅した日のことを思い出す。

あの日は確か、恋について話をしていたんじゃなかったっけ。
好き、という意味もいまいちよくわかっていなかった気がする。

「ねえ千歳、私、思うんだけど」

「なになに?」

「好き、って三種類ある気がするの」

千歳は頷きながら、私の話に耳を傾ける。

「恋愛の好きと、友達の好きはわかるじゃない?」

「うん」

「だけど……、私が千歳に向ける『好き』はどちらでもないと思ったの」


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:25:24.85 ID:uON2Klq60

千歳は不思議そうに目を丸くした。
そして「なるほどなぁ」と呟いた。

「グレーゾーン、ってやつやな」

「そうね、たぶん」

「でも綾乃ちゃん……それってセーフなん?」

千歳は悪戯に笑う。

「そんなこと言うたらまた歳納さんに怒られるで~」

「だ、大丈夫よ。歳納京子のことはちゃんと好きだから!」

すると千歳は慌てて鼻を押さえた。

「あ……あかん、せっかく耐性ついてきたのに……」

ティッシュを探す千歳を見ながら、やっぱり私たちの関係は何も変わらないと思った。
『好き』というたった一言でも、変わる関係と変わらない関係があることを知った。


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/20(日) 21:27:30.54 ID:uON2Klq60

「千歳、好きよ」

鼻にティッシュを詰めた千歳は一瞬、驚いたような表情を浮かべたけれど、すぐに笑顔を浮かべた。

「うちも好きやで、綾乃ちゃん」

それから私と千歳はいつもの道を歩いて帰宅した。


たぶん、私と千歳の関係はこれからも変わらないだろう。

その一方で、私と歳納京子の関係は少しずつ変わっていくはずだ。


友人と恋人の線引きは難しい。
友人であっても、ひょんなことから恋人に転びそうになってしまうことがあることを知った。



私には好きな人が二人いる。

その『好き』は少し違うけれど、どちらとの時間も大切にしていきたい。

そして、その大切な二人と過ごす時間の中で、また新しい『好き』を見つけたいと思う。





おしまい


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■コメント

 [名無し]

まーた尻軽綾乃か

 [名無しさん]

良い作品と思いました、まる。

 [名無しさん]

良質な千歳SS

 [名無しさん]


途中どうなるかひやひやしたぜ

 [名無しさん]

実にいいな…、
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