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「七森中の……伝説の樹?」

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235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:37:27.86 ID:LhlGaa/Q0


「七森中の……伝説の樹?」



「えぇ、そうよ。聞いたことない? 古谷さん」

放課後の生徒会室。
事務作業を先輩に教わりながらの雑談。
今日はその話題に『七森中の噂』が挙がった。

「といっても私も千歳から聞いた話なんだけどね」

知らないと答える自分にそういって話を続けるのは、
私が所属する七森中生徒会の副会長である、杉浦綾乃先輩。
一つ年上で、正義感にあふれた頼りがいのある、まさに役職に適した存在。
腰まで届くご自慢のポニーテールをたなびかせ、左に右にと歩きながら、話す。
……特徴的なフォルムのもみAGEが動きに合わせぴょこぴょこしているのは見なかったことにしよう。

「伝説の樹の下で女の子からの告白で生まれた恋人たちは永遠に幸せな関係になれる……?」

杉浦先輩から聞いた話をまとめるとこうなった。
よくある、『学校の七不思議』みたいなものだろうか。
夜に目が光る音楽室のベートーヴェンだとか、これまた夜に数えると段数が増えている階段だとか、
そういう類のものを私、ごく普通の中学1年生である古谷向日葵は、あまり信じていなかった。


236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:38:46.77 ID:LhlGaa/Q0

「……ほんとうですか?」
「私も実際に体験談を聞いたわけじゃないからわからないけど……」

オカルトなものを信じていなくても、このぐらいのロマンは夢見てもいいのかな。
ちょっと乙女チックにすぎやしないか。
それが若干不安に感じられて先輩に探りを入れてみるも、手ごたえはなく。

「杉浦先輩は……その、そういうの、あったほうがいいかなーとか、思います……?」

頬があつい。
顔は赤くなってやいないだろうか。
事務作業に集中しているような素振りをしながら、直接聞いてみる。
顔が見えないように書類に目を落としながら。

「え!? べべ、べつにとしのーきょーこのことなんて……!!」

……。
だめだこりゃ。


237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:39:25.41 ID:LhlGaa/Q0

まぁでももしかしたら先輩は心の片隅で期待しているのかもしれない。
あるいは、なかなか素直な気持ちを出せない自分を奮い立たせたいのかも、しれない。

……そう考えると、これも池田先輩の策略なのかもしれないとも、思えた。

池田先輩。下の名前は千歳。
メガネと鼻血と妄想がトレードマークの、生徒会に二人いる2年生のうちのもうひとり。
杉浦先輩のクラスメイトでもあるその先輩は、いまはこの場にいなかった。

池田先輩は同じくもうひとりいる生徒会の1年生を連れて、職員室に向かっている。
今日の作業量がいつもより多いため、仕事のできる2年生を集中させないためだ。

「まぁ千歳の言うことなんだけど、あの子、前にも嘘のようなホントのことを言ってて……」

分散させたために、こうして千歳が言っていたんだけどで始まる話題になったわけで。
池田先輩って、見た目以上に奥深いんだなぁと感心しながらあとは生返事を続けた。


…………。

……。




238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:40:39.92 ID:LhlGaa/Q0

「……」

「じゃあ施錠するわね。みんな、忘れ物はない?」
「あらへんよ~」
「へいきです!」
「私も、大丈夫ですわ」

世間話を続けるうちに帰ってきた池田先輩たちと合流して、本日の作業を終わらせる。

「思ってたよりも早く終わってよかったわ」
「うちももっと遅なるとおもっとったわ~」

たぶんそれは先輩方のとった戦略のおかげだ。
その一助になっていればなによりだけど、私たちはまだまだ力不足。

「じゃあ帰りましょう先輩方!」
「言われなくてもそうしますわよ……」
「うるさいなー、そういう意味で言ったんじゃないやい!」

別に自分の力量に悔しさを感じたわけではないはずだけど、つい口が悪くなってしまった。

「まぁまぁ、ケンカはあかんで~」
「そうよ、仲良くしないと二人とも罰金バッキンガムなんだから!」


239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:43:17.50 ID:LhlGaa/Q0

杉浦先輩はこうして時折ダジャレをはさむ。
時々面白い。
時々、……。

歩き始めた流れに取り残されぬよう、頭を振って着いていく。

下駄箱を抜けて校庭に出たところで、古谷さん古谷さんと、肩を叩かれた。

「なんですか? 杉浦先輩」
「あれよ、あれがさっきの話の樹」

そういって先輩が指し示す先には、一本の樹があった。
校庭の外れに、周りから取り残されたようなぽっかりとした空間に立つ、大きな樹。

「どしたん~?」
「えっと、さっきこの間千歳からきいたあの樹の噂を古谷さんとしてて」
「…………ふ~ん」

歴史を感じさせる大木を見ながら、そんな先輩同士の会話を聞く。
思ったよりも淡白な池田先輩の返事に少しおかしさを感じながらも、
ちょっと先を歩く四人目が加わる前に話が終わったことに安心した。

……知られて困る話でもないけれど。

その後は4人で他愛もない会話が続いた。
伝説の樹の伝説の話は、ひとかけらも出ないまま。


240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:44:00.33 ID:LhlGaa/Q0

「ほなまた明日な~」

途中で先輩二人とわかれ、1年生二人帰路につく。

櫻子。
ただの友人。

家が隣同士であるため同じ道を二人で歩く。
ともすればまぶたの裏にちらつく樹のシルエットを頭の隅に追いやり、歩く。


242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:45:33.40 ID:LhlGaa/Q0

「いつも仕事を教えてくれるのは杉浦先輩ばっかだけど、池田先輩もやっぱすごいな~」
「そうなんですの?」

「うん、なにをなんでどうするのかが、わかりやすかった」
「へぇ……ほんと人は見かけによらないものですわね」

「向日葵も結構わかりやすいよねー、教えてくれるとき」
「……そう、かしら」

「この間あかりちゃんに教わったとき思ったんだよねー」
「赤座さん……に?」

「やっぱり向日葵は私の専属家庭教師だな!」
「ひとりで理解できるのが一番ですけれど」

「それができないから頼んでんじゃーん。」
「開き直らないでほしいんですけれど。」

「ま、そうだけどー。 そういえば新しいリップクリーム買ったんだー」
「……最近乾燥しますものね」

「そうそう。今日も……うぅ、風が冷たい」
「今日はちょっと風が強いですわね。 ……明日はそうでないといいんですけれど」
「先のことはわからんねー。 ……じゃ、また」

本当に他愛もない話をしているうちに、家につく。
なんだか別に考え事をしていたような気がするけど、どこかにいってしまった。
……同じクラスの、生徒会には所属していない女の子の名前が出てきたあたりで。


243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:47:02.63 ID:LhlGaa/Q0



…………。

……。





244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:49:32.04 ID:LhlGaa/Q0

「古谷さん、昨日綾乃ちゃんから樹ぃの話きいたんやって?」

今日の放課後も生徒会は二手に分かれて作業中。
昨日とかわって、池田先輩のペアは私。

「……古谷さん?」
「え、あぁ、はい」

伝説の樹の話を振られ、ふと思い出したことがあり返事が遅れてしまった。

「えぇと、なんでもあの樹の下で女の子からの告白で生まれた恋人たちは永遠に幸せな関係になれる……でしたっけ」
「んーまぁ、そうやな~」

そういえば校庭で杉浦先輩に樹の場所を教えてもらったとき、池田先輩は興味なさげだったような。
見た感じそういった話に食いつきそうなイメージだし、そもそも杉浦先輩にその噂を教えたのも池田先輩では。
今も自分から話を振っておいて、食いつきがわるい。


245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:51:04.45 ID:LhlGaa/Q0

浮かんだ疑問は置いておいて、話を続ける。
……そのつもりだったが、それっきり池田先輩は口を閉ざしてしまった。

ちょっとした沈黙の後に始まった言葉は、話題がかわっていて。
あまり掘り下げるのもなにかなと思い、世間話をしながら作業を進める。

櫻子の言った通り、世話好きの女房役は教え上手だった。

作業が終わって必要な書類をまとめて生徒会室にもどる。
そこには美味しそうにプリンを食べるバカ娘と、
頭を抱えながらも作業を続ける不憫な先輩がいた。


…………。

……。




246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:52:34.95 ID:LhlGaa/Q0

「後は私と千歳でやるから、二人は大丈夫よ」
「これ以上は分担できそうになくてな~」

今日も力及ばず、途中離脱。
いつもなら申し訳なさでいっぱいになるところ、
今日はありがたみも胸の中にわいてしまった。

ふと思い出したこと。

先ほどの池田先輩の言葉で頭の隅から引っ張り出されたもの。
昨日櫻子と帰っている最中にどこかにいってしまった、もの。

伝説の樹のもとに……、不自然なく校庭のはずれに二人で行くにはどうすればいいか。

どうすればいいか。今度は頭から消えてくれなくて、ずっと考えていた。
何も浮かばなかったけど。


248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:54:39.56 ID:LhlGaa/Q0

「じゃあすいません先輩! お先に失礼します!」
「失礼します……」

申し訳なさが全く見られないいつもの元気さで勢いよく扉を開ける友人。
それに続いて生徒会室の扉をくぐる。

人の居ない静かな廊下を歩く。
周りを気にせず物思いにふけることが出来る環境にうつっても、
思考の渦はぐるぐるぐるぐると回りつづけるだけだった。

ぐるぐる。ぐるぐる。

考えることが嫌になりはじめたころ、
悩んだ末なんらかの結果が出ても自分には関係ないんだと思い始めたころ、
靴を外履きに履き替えて歩き始めてすぐに、

「あ、私ちょっとトイレ寄りたいかも」

何にも考えていない空っぽの頭から、こんなことを言われた。


249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:57:18.36 ID:LhlGaa/Q0

「……もうちょっと早く言えば、途中で寄れましたのに」
「仕方ないじゃん、いま気付いたんだしー」

「はぁ。家まで我慢……は体に毒ですしね、早くすませますわよ」
「すまんねー。こっから近くて、上履きに履き替えなくてよさそうな……あそこか」




少し鼓動が早まった。



でもすぐにかぶりを振り、先を行く櫻子の背中に着いていく。
その更に向こうに古びた一本の樹があったとしても、私には関係ない。

風に舞う木の葉が二人をその袂へといざなうように感じられて、私は小さな背中だけを見つめることにした。


251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 07:59:13.28 ID:LhlGaa/Q0

「……ふぅ、やぁやぁすまんねー」
「ハンカチぐらい持ってなさい……」

外で待つ際も、何も考えないように空を見ていた。
それでも視界の端に流れる木の葉が背中の方、風の行き着く先を意識させるようで、目をつむる。
だから中からハンカチを貸してと聞こえたときは正直ほっとした。

ピンク色の花びらが刺繍されたハンカチで手をふきながら、櫻子が出てくる。

「今日はたまたま忘れちゃったんだよー」
「じゃあ次は貸さなくていいんですのね」

「そんなこと言うなよー……。 はい、返すね―――あっ」
「っ!」


252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:01:29.41 ID:LhlGaa/Q0

とつぜんのかぜ。

校門へ向けて歩き始めた私たちの前から。
淡い桜色の布を奪って、飛んでいく。




どうかこの胸の音がどこにももれていないよう。



少し遅れて振り向いた先に。
遠いねぇ、つぶやいて、歩き出す。

その、目的は―――






253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:03:15.80 ID:LhlGaa/Q0


「なぁなぁ綾乃ちゃん、どうして古谷さんに話したん?」
「なんのこと千歳? ……えぇっと、もしかして伝説の樹のこと?」

「うち、綾乃ちゃんがそんな口の軽い子だとは思わんかったわ……」オヨヨ
「え!? よ、よくある噂でしょ!? 話しちゃダメだったの……?」

「なんも? べつになんも悪いことあらへんよ~」ケロッ
「……。 なによ、びっくりしたじゃない……」

「ごめんなぁ、綾乃ちゃんがかわいくてつい~」
「まったく……だって、今日も」

「んー? まさか……」
「なな、なんでもないわよ! ほら、作業つづけるわよ!」

「……そか~」
「そうよ! ……それにしても千歳、よく色んな話知ってるわね」




254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:04:21.08 ID:LhlGaa/Q0


「そんなことないで~」
「でも私は知らなかったわけだし……」

「そりゃそうやろうなぁ……まぁでも」
「?」

「ほら、歳納さんとかもこういう話詳しそうやん? 色んな話知っとるんはうちだけやないで~」
「た、たしかに歳納京子はこういう話好きそうね……」

「やろー? そや、今度綾乃ちゃんもこの話知っとるか歳納さんに聞いてみーへん?」
「そそ、そんなこと聞いたら、まるでとしのーきょーこのこと意識してるみたいじゃない!!」

「だいじょぶやってー。 現に、古谷さんたちには聞けたやろー?」
「た、確かに……」




255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:06:14.53 ID:LhlGaa/Q0





―――好きです。







256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:06:44.98 ID:LhlGaa/Q0


「……まさか綾乃ちゃんがほいほい古谷さんに話すとは思わへんかったな~」

「まぁでも、これで成功談ができれば説得力も増すやろうし」

「断られたりせーへんよう注意せな……」

「あーでも、卒業式って話が抜けてたみたいやし、失敗してもなんとかなるかな~?」

「なんにせよ、経過が楽しみやわ~」





257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:07:54.20 ID:LhlGaa/Q0



家が、隣同士おなじところにあるから。

おなじ道を歩く。

おなじ時間に出れば、いっしょに歩くことになる。

視界の中心にある影は、長く長く。

それが二人分。


258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:09:26.75 ID:LhlGaa/Q0


―――その言葉が、言えなかった。




夕暮れに照らされた道。

こんな世界だから、俯かなくても隠れてくれる。

赤い顔は気付かれずにすむだろうけど、それでも二人して下を向いていた。

いつもは何も考えずとも出てくる言葉が、かき消される。


259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:11:58.80 ID:LhlGaa/Q0

沈黙はなんにも気にならない。

瞳だけ横に動かすと、相手も同じことをしていた。

なんだかおかしくて、ふふっと笑いながらまた影を追う。

櫻子は見えなくなったけれど、同じ反応をしているはず。

それがおかしくってうれしくって、また微笑みがこぼれる。



261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:13:54.19 ID:LhlGaa/Q0

言えなかったけど、あの樹の下のことを思い出すと、不思議な気分。
なにも悪い気はしない。
ふわふわ、ふわふわ。

櫻子。
ただの友人。

家が隣で年が同じで性別が同じで幼馴染でずっと一緒でクラスも一緒で二人で育って
気の置けない気の休まる離れられない離れたくない大切な大切な大切な大切な大切な存在。

ひとりだけの、存在。

ふたりだけの、関係。

櫻子。
私にとって。


262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:15:58.36 ID:LhlGaa/Q0

「ねぇ、向日葵」

「なんですの」

「私たち、いっしょだね」

「いっしょ、ですわね」

櫻子はいつもわたくしのまえを歩いてくれる。
引っ張ってくれる。
向日葵はだからそれを全力でフォローする。
支えてあげる。

それをしたいから、する。

「ずぅっといっしょだよね」

「ずぅっといっしょですわ」


263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:17:41.66 ID:LhlGaa/Q0

明日も。その次も。その次も。その次も次も次も次も次も。
たぶんきっと、ずっと。

だから、それをわかってるから櫻子は笑顔で手を振れる。
だから、私もわかってるから泣かずに手を振り返す。

「また明日!」

「また、明日」

落ち葉舞い、空気の乾燥する、冷たい季節。
そんななか触れたみずみずしさが、あたたかかった。




264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:20:51.52 ID:LhlGaa/Q0

――伝説の樹の下で――


櫻子「まったく、ハンカチの野郎、こんなとこまで飛んできやがってー」プンプン

向日葵「……」

櫻子「よいしょっと……ほい向日葵、ごめんね落としちゃって」

向日葵「別に大丈夫ですわ、このくらい」

櫻子「遠回りさせられちゃったなー、こんな、と、こ……? ……あ」

向日葵「……どうしましたの」

櫻子「この、樹……」

向日葵「……。 おっきな、樹ですわね」

櫻子「え、あ、あぁ、うん……」


265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:23:25.59 ID:LhlGaa/Q0

櫻子「ねぇ、こ、この樹の話……」

向日葵「……えと」

櫻子「……いいや! なんでもない、忘れて!」

向日葵「誤魔化すの、下手ですわね」

櫻子「いいだろー! 別になんでもねーよー!」

向日葵「まぁいいですけれど。 ……さむ」

櫻子「そだねー、あ……」

向日葵「?」

櫻子「向日葵、もしかしてリップ切らしてるの?」

向日葵「へ? あぁ、そういえばそろそろ新調しませんと」

櫻子「ダメだよー、唇きれたら痛いよー!」

向日葵「そうですわね」

櫻子「だから……ん!」

向日葵「?」

櫻子「貸したげる!」


267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:24:57.20 ID:LhlGaa/Q0

向日葵「だ、だいじょうぶですわよ」

櫻子「その油断が命取り! ほら、ぬったげるから、動かないで」ヌリヌリ

向日葵「ちょ、んっ、ん……」

櫻子「……よし、と」

向日葵「……これ、間せt」

櫻子「あー塗り残しがあったみたい!」ヌリヌリ

向日葵「ちょ、だから、……ふぅ」

櫻子「……」ヌリヌリ


269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:26:49.24 ID:LhlGaa/Q0

櫻子「……こんなもんかな、っと」

向日葵「……櫻子」

櫻子「……」

向日葵「櫻子」

櫻子「……」

向日葵「……櫻子」

櫻子「ねぇ、私たち……」


271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:30:10.03 ID:LhlGaa/Q0

向日葵「……」

櫻子「友達、だよね?」

向日葵「……でしょうか」

櫻子「幼馴染、だよね?」

向日葵「……でしょうか」

櫻子「ライバル……だよね」

向日葵「……何が言いたいんですの」

櫻子「ずっと一緒にいたい」


272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:31:21.02 ID:LhlGaa/Q0

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「ずいぶんと、即答ですのね」

櫻子「ねぇ向日葵、この樹の話、知ってる?」

向日葵「知ってますわ。 ……杉浦先輩から」

櫻子「そっか、おんなじ」



273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:31:51.15 ID:LhlGaa/Q0

―――  だよ。





向日葵「……私が言うつもりでしたのに」

櫻子「へへ、私も話、聞いちゃったもん」

向日葵「……」

櫻子「いっしょだもんね」

向日葵「いっしょですわ……気持ちも」

櫻子「ずっと?」

向日葵「ずっと」


―――ふたりいっしょにうなずいた。
伝説の、樹の下で。




――完――


275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/25(日) 08:35:02.93 ID:LhlGaa/Q0

xxだよ。
言えなかったのは、言われてしまったから。


以上、『帰り道』と、『伝説の樹』と、『間接キス』のお話でした。


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 [名無しさん]

これは最高品質のさくひまさく

 [名無しさん]

最近ひまさく分少ないので最高です
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